一目惚れ【 2 】 (ページ4)

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────何ヶ月かたった当たりから、涙なんて出なくなった。

逆らったら痛い、失敗しても痛い。食べなかったら、もっと痛い。

────4度寄生型の個性をかけられたことがあって、その時に精神が底をついて個性のリミッターの外し方を覚えた。

そんな地獄が2年続いた頃、私はもう感情を失くした用に無表情になり、瞳もどこか澱んでいた。

オールフォーワンに言われるまま殺人に手を出すようになり、狼狽えながら何も考えないようにして殺していった。

────死柄木さんとはその頃知り合った。

顔を合わせてはいたものの、言葉を交わしたことは無かった。

だけど死柄木さんは私が気に入ったようで、あの人に許可を取ると私を縛り始めた。

どこに行くにもついてくる。好きだ、なんでわかってくれない。そう言って迫ってきた。

それは私には恐怖でしかなくて、今考えてみれば体を傷付けられたことはなかった。

でも彼は、心を容赦なく踏み潰してきた。

私の両親に裏切られたことを何度も掘り起こしては、えぐって傷つけていく。

世界が真っ黒だった。

5歳の時の明るい世界とは正反対の、闇の世界。

痛みと悲しみと、狂気しかない世界だ。

────4年が経った頃、もう私は動くことさえ考えなくなって、あの人に声をかけられるまではずっと座っていた。

その頃にはもう個性の使い方を全て把握していて、リミッターを何度も外していたあとだった。

────4年と半年。

その頃私は、暗殺を専門に裏社会の人間を始末していた。

だかその時ふっと思ってしまった。

私は何のためにこんな所に来て、仕込まれたくもない技を仕込まれて、こうして生きているのだろうと。

それをあの人に聞いたらこれ以上ないほどにいたぶられたので、もうそれも考えなくなった。

────そして5年目。

私が動かなくなって腹が立ち、オールフォーワンが電気コードで私を縛り苦しめようとしていた時だった。

あの人が現れたのは。

オ「────もう大丈夫、私が来た。」

壁を突き破って私を抱き上げたオールマイトは、私の表情を見て絶句したという。

────10歳の子がするような表情ではない、ということらしい。

────そのあと、私は助け出され、オールフォーワンが死んだということを聞かされた。

────それでも、私はもう限界だった。