一目惚れ【 2 】 (ページ16)

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────廊下で壁に身を預けた私は、ふっと息を吐いた。

だけどすぐに誰かが追いかけてくる足音がして、咄嗟に身を隠す。

轟「っA…どこだ…」

後ろ姿をちらっと見て、私はその場に座り込む。

轟くんは悪くない。悪いのは私なのに。

なんで私は避けているのか、もう自分でも分からない。

「本当に…何やってるんだろう、私…」

ただ、USJの時のことがトラウマになっていて、昨日のでその引き出しが開いたのは事実なのだ。

死柄木さんに体を触れられて。

耳元で、ねっとりと囁かれて。

抜け出そうとしても抜け出せないほど強く抱きしめられて。

────今まで安心を与えてくれたそれが、突然怖くなってしまった。

保健室で抱きしめた時とはまた違う轟くんの感情が、すごく恐ろしくなってしまったのだ。

「私の姓で…轟くん、何にも悪くなんか…」

なんで怖いんだ、そんな意味もない怒りを覚えて個性を使おうとするけど、冷静になって辞める。

────帰りもそんな感じだった。

「…あ、A」

「ど、うしたの轟くん」

「一緒に帰らねぇか？」

「そ、そうだね！一緒に帰ろう！」

胸がキュッと痛むのを無視して笑顔を振りまいて。

轟くんは何にも悪くないんだから、断っちゃいけない。

そう思って無理に話を続けながら家までつくと、ありがとうと言ってすぐに家に入った。

────その間私は眠りにつけなくて。

────いつでも無理に笑顔を作って。

────ご飯も手につかなくて。

────そんな生活が、１週間続いた時だった。

────私が倒れたのは。