ぎゅっと、ふわっと。 (ページ13)

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「はっくしゅん、」

「なにりょうすけ、風邪？」

「分かんない、けど、寒い …」

今日の最高気温、33℃。
しかも今、真昼間なのに寒いって …
風邪か熱しか考えられないじゃん、っ

「病院、」

「やだ！行きたくない！」

「ですよね～、」

俺だって行かせたくない。
全力で拒否るりょうすけは、布団にくるまりながら俺を睨みつけてきた。可愛い、けど怒るのやめてよ。

俺が仕事をしている間も咳やらくしゃみやらが止まることなく、ずっと俺の耳に嫌なほど響いていた。もう、無理にでも行かせた方がいいのかもしれない。これ以上悪化したら、やばいもんな、うん、行かせよう。

「りょうすけ、病院いくよ。」

「や、やだよ…」

「俺だって無理矢理行かせるの嫌だよ、」

「うう … でも行きたくない …」

「…………… じゃあ、行ったらご褒美あげる。」

もう、もので釣るしか手段はない。

「え、なに？！」

「なんでもいいよ、りょうすけが欲しいものだったり、してほしいことだったり言ってくれたらできる範囲でしてあげるし買ってあげる。」

「行く！はやく行こうけえくん！」

俺はりょうすけを甘やかし過ぎてるのかもしれない …
分かってはいる。だけど、意地でも行かないから…

いつも病院の時はこの手段で行かせてる。今日は使わないで行こうと思ったのに … 無理だった。

「けえくん！おそい！」

玄関で靴も履いて準備万端なりょうすけは、きらっきらな笑顔で俺を待っていた。ほんとにこいつ、体調悪いんだっけ…？って不安になったけど、相変わらず咳は出てたから風邪で間違いないだろうな。