愛されるが幸

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「今日はおでかけする、？」

「ううん、家でごろごろするだけだよ。」

「そっか、よかったぁ。」




ぎゅーっとソファに座る俺を真正面から抱きしめてくる山田。
筋肉質な背中に腕を回すと、嬉しそうな声が聞こえた。

昼間はこんなにも可愛くて世話好きで大人しいのに、どうして夜になるとあぁなるのか。


山田は高校生の時から今みたいな、いわゆる二重人格というものに悩まされているらしい。
両思いだったのに全然告白されなくて、痺れを切らした俺が『好きだよ山田！』ってちょっとキレながら言うと、山田は『ずっと二重人格に悩まされてて伊野尾ちゃんを苦しめるかもしれない』と泣きそうになりながらこたえた。
まぁ、好きなことに変わりないからいいんだよって返して結局付き合えることになったんだけど。


その日の夜早速もう1人の山田とご対面しちゃったわけで。
俺の初は、呆気なく終わった。
それはそれは痛くて泣き叫んだ。




「伊野尾ちゃん、？」

「ん？？」

「んーん、なんにもないよ。」




首に両腕を巻き付けてきて、ぎゅっと強くだきしめられた。
山田の後頭部に右手を回してキスをすると、おれについてくるのが必死なのか息も絶え絶えで。
いつもはリードされる方だからなんか不思議。



夜のやまだとは大違い

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