愛されるが幸

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『先輩、？』




そう可愛い子犬みたいな目で、声で呼んでくれたやまだはもういない。
後輩にあるにもかかわらずタメ語だし‘’伊野尾ちゃん”呼びだし …… まぁそうしてって頼んだのはおれだから別にいいんだけどさ。

それは別として、やまだはものすごくクールなやつだった。
現に今も頭を撫でてくれるのはいいけど口調が荒い。
そして殺されるんじゃないか、とヒヤヒヤするぐらい怖い目力で俺を見ていた(というよりかは見下していた)。




「伊野尾ちゃんさぁ、」

「… なに、」

「嫉妬、したんでしょ？」

「へ？」

「見てれば分かるよ。」




見てればって、見てなかったじゃん。
そうだよ、ずーっと嫉妬してたよ、悪い？
恋人の目の前なのに女の子にちやほやされて、なんで笑顔でいれるの？
お酒飲んだ時だって止めにこなかったくせに、気づかなかったくせ




… に、？




「ほんとばかだよね。
嫉妬したから俺にも嫉妬してって？

… 嫉妬じゃ済まねえよ、あんな色気ダダ漏れにしてたら。」



「色気なんて、っ」

「自覚ないのが一番タチ悪いから。

おっさんたちに襲われたいの？？」






やっぱり、やまだは口が悪くてその上性格も若干悪い。

気がつけばやまだは俺の上に跨っていて、両手首をおさえつけられた。
いくら抵抗しても解けない程の力で。




「もう、これから飲み会禁止ね？」

「え …」

「いい子なんだから、ちゃんと守ってくれるよね？」




いつの間にか可愛い子犬みたいな、あの時の目に戻ってうるうるさせていた。そうすれば俺が約束を破らないって分かってるから、


一番タチ悪いのはやまだじゃない、？

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