太宰さん ページ10
そもそもわたしが太宰と知り合ったのは、少し前の話。
最近わたしは一人横浜の小さなアパートに住み始めた。
其処は大きな河川の近くで、夜聞こえるのは川のせせらぎ。朝起こすのは鳥の鳴き声。
何とも素晴らしい家を手に入れたと、喜んで、友人のナオミに連絡。
すると思いの外家が近かったので、最近は毎日に近いペースで互いの家で時間を過ごす日々。
そしてわたしの毎朝の日課は、そう。
朝のランニング。
川の近くを走る事の気持ちよさに目覚めてからは、朝が大の苦手なわたしだったが、すんなり起きる事が出来る様に成った。
そんな或る日。
川に流される二本の足が見えた。
スルーしようとしたのだが…わたしのランニングコースに、川端に、無駄に近い位置を流れていた。
まるで、助けて呉れと云っているかのように…。
だからわたしは助けた。
結果として、其れは正解だった。
そして太宰さんと名乗る人物から、謎の説教を頂き、
「しかし、こんなにも可憐な女の子を濡らしてしまった。これは紳士としてケジメを付けなければ！一緒に心中しよう！」
「結構です」
「むむむ、では！何でも一つ、願いを聞いてあげよう」
それ！そう云うのが聞きたかった！心中とかじゃなくて！
そんな甘い誘いにわたしは乗った。
「では、『中原中也』の居場所を教えて下さい」
無論、無理なら彼に聞くのは潔く諦めようと思っていた
が
「嗚呼、中也ね。あんな奴捜しても時間の無駄だよ？どうせなら私と一緒に心中した方が…」
彼は知っていた。
わたしが『中原中也』の名を出した瞬間、心底嫌そうな顔をしたのは、見ていない事にして問いかける。
「知ってるんですね！教えて下さい！」
「でもねえ…こんな可憐な女の子を中也の元にやるなんて…」
信じられないよ。そう嘆く太宰にわたしは追い討ちを掛けた。
「教えて下さい！わたしの初恋の人何です！」
そう叫ぶと、太宰は先程までの戯けた雰囲気から一転。
「それ、何時の話？」
「…えーと、わたしが、四歳くらいの…」
「…覚悟は有る？」
何の事か尋ねると、太宰は云った。
「如何なる真実も受け入れる覚悟」
「はい」
考えるより前に口が動いた。
「良いでしょう！」
パンッと太宰が手を打った。
「君の願いは私が叶えてあげよう！」
そして、太宰の云った通りの時間と場所で、中也と見えた。
もし彼が、住所まで渡して呉れたのならば、感謝をしなくては成らない。
そう思い、太宰の元へと向かった。
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (
レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています！ (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽斗 | 作成日時：2021年7月15日 2時
