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くじ引き ページ37

書きにくい。

と云っても塗るだけだ。

360度丹精込めて塗る。

引きませんように…と。

そして、渡された紙の割り箸が入っていた物に入れる。

「どうぞ」

そう云うと太宰が振り返った。

顔もスタイルもいいのに。

と、思ってしまった。不覚。

直ぐに割り箸へ視線を戻す。

そんな事を思っていたら目が合ってしまった。

慌てて逸らす。

「ふふ、じゃあ…」

当たりの方を、引くなと唱えながら見詰めていると


太宰は、割と迷いなく引いた。


当たりを


「当たって仕舞った。此れは心算、神が私を選んだと云う事…私は」

私は神の子だの何だの、とブツブツ云っている太宰は置いておき、ジョキジョキと線に沿って切る。

そして、太宰に向けてナイフを投げた。

「何で判ったのですか?」

「Aちゃんが当たりを睨めつけてたから」

「っ!睨みつけて何かいません!!」

な、成る程。以後、気を付けねば。

そう思い、わたしは割り箸を見ないことを決心した。

同じ轍は踏みません。


「さぁ、二ターン目だね。Aちゃん、後ろを向いてくれ給え」

「……先行後攻、交代しませんか?」

其れは単純に、わたしの結果を見て当たりを引くかどうかを太宰が決められるのでは無いか、と思ったからだ。


遊ばれているようで気分が悪い。

「Aちゃんが云うなら」

太宰は割り箸達をわたしへ投げて寄越した。

「ありがとうございます」

太宰が後ろを向いたのを確認して、マジックペンで色を付ける。

「出来ました」

太宰が引く。わたしは割り箸を見ないように首だけ後ろを向いて、目を瞑った。

ゆっくりと割り箸が引かれて、紙と擦れる音がする。

「Aちゃん」

云われて目を開いて太宰を見る。
手元には割り箸。線から下は手で隠されている。

太宰が手を退けた。

───当たりだ

「私の一勝だ」

「そうですね」

わたしは線から下を切ろうと残った割り箸を取り出した。

「あれ?何か此れ…ピンク色」

その割り箸の先端はピンク色に染まっていた。

わたしの声に反応して太宰も其れを見た。

「塗った方と擦れてピンク色になったのかも知れない。次からは当たりとハズレの距離を少し離そう」

「そうですね」







次、もしわたしがハズレを引いたら負け。


プレッシャーがのしかかる。


「Aちゃん」

太宰の声で太宰と向き合う。

太宰の視線の先は何時だって判らない。

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:恋愛
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時

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