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天才は ページ27

パンダさんの身体に触れると未だ温かかった。


「わたし、本当はずっと

死にたかったんです」


一人、ポツリと話し始めた。

彼女なら、聞いてくれる気がして…



◆??side◆


「わたし、本当はずっと死にたかったんです」

と、Aが云った。

ポツリポツリと誰かに、自らに語り掛けるように。


「でも、それは本当に一時期で、生まれた時は、本当に幸せだった」






「わたしは、割りとちっちゃい頃からの記憶が

あって、生まれたその瞬間からそう、あの時、

わたしの両親が死んじゃったあの時までは、ず

っと幸せだった。



その時によく遊んでくれたお姉ちゃんが居て、

名前も顔も、ぼんやりとしか覚えて無いんだけど、

優しかったこと、大好きだったことだけは

覚えてるんです。


二人で公園で鬼ごっこしたり砂場遊びしたり、

一緒に本読んだり、お話しをつくってみたり。

そのお姉ちゃんは、ずっと優しくて、

わたしの事、大好きだって言ってくれて

わたしの異能力も、

『いいなぁ、羨ましいなぁ』

って言ってくれて

だから、このチカラは恥ずかしいモノなんかじゃないって思えたんです。

誇れるモノ何だ…って」


Aは、昔の事を思い出しながら笑顔で自分の指に目を落として話していく。


「でも、その幸せは永くは続かなかった」


そこから話しは徐々に地獄に入って行く様な内容へと移って行く。


「でも、中也君が現れて!」


暗い表情で話していたAの表情が急に明るくなった。


「それで、もしあのお姉ちゃんが知ったら、喜んでくれるのかなって…思って。

応援してくれるのかなって」


「だから、わたしはもう一度お姉ちゃんに会いたい。


今までお姉ちゃんがしてくれた分の

『ありがとう』

と、今までお姉ちゃんが言ってくれた分の

『大好き』

を伝えたい」


Aがそう云った時、私の瞳から涙が一粒溢れて漏れた。






「だからわたしは、ちゃんと中也君との気持ちに、関係に、決着をつけなきゃ…行けない…のに…」


『行っていいよ』『中也の場所に』

そう、心の中で呟くと、其れが伝わったのか

Aはパンダに声を掛けて立ち上がった。



中也の場所を目指して

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設定タグ:文スト , 中原中也 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:恋愛
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時

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