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楔 【ハイキュー!!】〈角名倫太郎〉 ページ7

じーっと見つめてくる彼、スナ君。私たちが座ってるのも相まって、見上げる形になっている。角度えぐいて。

そう、と短くいって私の後ろの席に座る。

貴方「あ、前後の席なんやね、これからよろしくね〜、私坂野Aです!」
角名「……角名倫太郎。これからよろしくね、坂野さん。」

うん、と返して前を向く。なんか名前言う前に間があった気がするけど、女子苦手とかそういうんかなぁ。

side change

オッホホ、マッジでか?今年ツイてるわ、最っ高。
顔には出さないけど、心の中ではガッツポーズ。少なくとも席替えがある1ヶ月後までは前後な訳だ。別に坂野さんの事が好きなわけじゃないけど、可愛い女の子と席が前後って言うのは男ならきっと誰でも嬉しいもんなのよ。

…治、目の端ギリッギリに見えてるけど、まだ食べるんかお前!特大おにぎり3個も食べないでくれよ!!





………ふと、君に会った日と喋った日を懐かしく思う。君と出会ってから早1年と5ヶ月。セミが鬱陶しい程に鳴き、嫌でも夏を感じる。
君とはたくさんの話をして、すぐに仲良くなったよね。GW明けに俺が告白したら君は真っ赤になって、照れくさい顔をしながら、お願いしますって言ったよね。緩みきった口元に釣られて俺もにやけてたっけなぁ。





角名「ごめん。」
貴方「なんで謝るんよ、2人で決めたことやで。」
終電も行ってしまった駅前のベンチに、2人で並んで座る。
夜だと言うのに、暑くて2人とも汗が止まらない。
角名「何か飲む?」
自販機を指差しながら訊くと
貴方「んー、飲もっかなぁ」
今日暑くてさ〜、飲み物買うのこれで3回目やわ〜。アハハと笑いながら言う彼女の顔はやはり、無理をしているようで、見ているのが辛かった。

お茶と水を1本ずつ買い、どっちがいい?と訊くとやっぱり水で。相変わらずこの水好きだな、と思った。
貴方「お金。いくらやった?」
角名「いいよ、これくらい」
彼女でしょ、と動こうとする口を必死に噤んだ。
貴方「彼女じゃなくなるんよ。他人になるんやからきっちりしなきゃいけないんよ。」
今にも泣き出しそうな瞳で、小さな手を痛いくらい固く握りしめて言い切る彼女に涙が出そうになる。
…俺が1番泣いちゃいけない。

角名「そっか。じゃ120円。」
貴方「ほい。」
3枚の硬貨を受け取る時に少しだけ触れた指先が、暑すぎるくらいの気温とは不釣り合いなほど、冷たすぎて。

ああ、どうしてこんなにも、愛おしい。

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作者名:DNA | 作成日時:2020年7月22日 23時

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