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忘れていたこと【ハリポタ】〈ドラコ・マルフォイ〉 ページ21

「グレンジャー、ポッターには訊いたのか?君たちなら他寮の生徒とも仲が良かっただろう。」
「…ちょっと気になって聞いただけよ。ロンの戯言だと決めつけて聞く耳持たないと思ってたけど、随分食いつくのね。」
「……ただウィーズリーには頭の中に生徒を作り出すという高度な事は出来ないと思っただけだ。」
「私が考えていたより酷くいわね。」

クスクスと左手を口元に当てて笑うグレンジャー。
確かにいつもの僕なら、というか以前の僕なら?そんなこと馬鹿馬鹿しいと相手にしなかったかもしれない。血に拘って、人を見下すような人間だった僕を彼女は真正面から向き合ってくれた。…彼女……?


「グレンジャー、もう一度名前を聞かせてくれないか。」
「Aのこと?何か思い出したの?」
「思い出せない。でも確かに大切な人がいた気がするんだ。忘れちゃいけなかったはずの人が。」
「貴方が結婚しないでいたのはその為なのかしら。」
「そうかもしれないしそうでは無いのかもしれない。」

「それどういうことかしら。」
「私にもわからない、思い出せないんだ。」
忘れちゃいけなかったはずの人。貴方は誰なんだ。

「…マルフォイ?考え込んでいるところ悪いけど、こんな所で油を売ってて大丈夫なの?」
「え、ああ。そろそろ失礼するよ。」
「何か分かったらまた伝えるわ。資料ありがとね。」
「ああ。」


静かに扉を閉めて、足早に歩く。自分のオフィスに戻り本日のタスクを終えたことを確認した後、明日の仕事予定を書き出す。
「9時から面会が入っているな。11時には外に出て…それまでにこっちを片付けなきゃいけないのか。」
明日も仕事が山盛りだな。まあ無いよりマシか。
さて、女性を待たせてはいけない。約束の18時に間に合うようキングス・クロス駅に向かうとしよう。腕に巻かれた時計は17:20を示している。
バッグを手に取りコートを羽織り、廊下に出て鍵をかける。コツコツと足音を響かせながら廊下を歩き、キングス・クロス駅に向かう。


信号待ちをする間に腕時計を確認する。まだ18時にはならない。それでも彼女は約束の時間より早くいるような気がして、早歩きをして時計の下を目指す。
なぜそんな気がするのかなんて分からないけれど、彼女は約束の時間より早くそこにいて、今来たところと言うような、そんなタイプに思えたから。

『私も今来たところだよ。』
耳と鼻の頭を真っ赤にさせた君がそう言っていたのがふと頭に浮かんだから。

「だから君は誰なんだ。」

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作者名:DNA | 作成日時:2020年7月22日 23時

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