居場所。【ツイステ】 ページ18
ルート:エース・トラッポラ
「あとここだけかー?」
突然開けられた扉に驚き、声を漏らすまいと両手で口を覆った。
声なんて聞こえるはずもないのに。
「ねぇ監督生、もうかくれんぼは終わりにしようぜ。」
いるとわかっていて話しかけているのか、それとも独り言か。
どちらとも取れない言葉を呟きながら、鏡へと近づいていくエース。
「闇の鏡よ、監督生の居場所に連れてってくんない?」
よろしくねっと言いながら鏡へと体当たりを決めた。
「は〜??なんで連れてってくんねーの!!」
ああ、居場所なんてものは無いのだから連れて行きようがない、と改めて言われているみたいだ。このまま消えてしまいたい。
「…。」
何を思ったのか、急に黙り込み、鏡の間をうろうろと歩き始めた。
「匂いはあるっつってたし、実体はある、はず…。」
ぶつぶつと呟き始め、中腰になりながら手を空中でふらふらさせつつ歩き出した。何をしているのだろうか。
どうせ自分は透明人間。見つかるはずもない。居場所もない。もう放っておいてくれ。
「腰いてー。でもあとはここだけなんだ。頼む、ここに居てくれ。…お?」
中腰で歩き回っていたエースは一度腰を伸ばした時にそれを見つけた。
するとさっきまでとは違い、確かな意志を感じられる足取りでそれに近づいた。
それの前までやってくるとしゃがみ、手を恐る恐る伸ばし、包み込むように触れた。
「やっと見つけたぜ?お嬢さん。」
『へ?』
突然かけられた声と触れられた手に驚いて涙を止め、顔を上げるA。
「ぶっは!ひでぇ顔!!」
でも良かったー!!とどさっと腰を下ろすエース。
『な、なんで、わかったの…?』
「色々あったけど、最後はその涙の水溜まり。デカすぎでしょ。」
エースが笑いながらも半分呆れて指をさしながらスマホをいじって答えた。それからマジカルペンを振ってタオルをだす。
「とりあえず、そのグシャグシャな顔どうにかしろ、ほんとにひでぇぞ…。」
蒸しタオルを出してくれたらしい。目に当てると気持ちいい。
『エース、ありがとう。』
「こっちこそ、悪かったよ…。」
『なんだったっけ…。』
「お前なぁ〜。あーもういいわ。だ〜つっかれたー!!」
笑い声が響く鏡の間へ連絡を受けた生徒たちが流れ込んできて騒がしくなるまであと少し。
END
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作者名:DNA | 作成日時:2020年7月22日 23時