居場所。【ツイステ】 ページ16
では、どういうことか。その場に本人がいた、はずなのである。しかし、監督生はいなかった。ますますどういうことだろうか。
「おーい、ジャックくーん?」
「ラギー先輩、ありがとうございます!あ、もし監督生を見たら教えてください!失礼します!!」
なにがなんだかなラギーを残し、ジャックは大急ぎで食堂へと戻って行った。自分の仮説を確かめる為に。
*
散歩、と食堂から出たAは、ジャックが歩いていった方向とは反対に歩きだし、いつの間にか鏡の間へと来ていた。
『私の居るべき場所は、この世界の、どこにも、ない。』
初日の出来事、絶望的な一言を今、思い出す。
まるでその言葉をなぞるように、お前にはやはり居場所などないのだと嘲笑うかのように、私はこの世界から切り離されたかのように、姿を認識してもらえず、声も届かない。
『……。…ウゥ…、ヒッ……スン……。』
どうしようもなく孤独感に包まれ、膝から崩れ落ち、涙は床に小さくも確実に水溜まりを作っていく。
*
昼食を、男子高校生とは思えない程のんびりとした(普段はガッツいている)スピードでつつきながらなんとも言えない不安に襲われた、相棒&マブ。
「他の人達にも見てないか聞いてみようぜ。」
「ああ、僕達を避けてるとしても他の人は誰か見ているかもしれないしな。」
「そうと決まればさっさと食っちまうんだゾ…。」
さっきまでとは打って変わって口にご飯を詰め込んだ相棒&マブトリオ。
そこにジャックが走ってきた。
「…スンスン…。」
「ジャ…ジャック…?」
「間違いねぇ!!」
「ジャック!!食事処でホコリをたてるものじゃないよ!もう少し静かに出来ないのかい君たちは…、全く。…おや、監督生はどうしたんだい?」
「げっ、寮長。」
「ローズハート寮長ちわッス!監督生は僕らも探していまして…。」
「朝からいないんだゾ。」
「いや、さっきは近くにいた。」
「どういうことだい?」
エースが本日3回目の説明をした後、ジャックはさっき会った時は"いつも通り"監督生の匂いがしたこと、今は薄れて、恐らく近くにいないことを話した。
「なんでさっき言わないんだゾ!」
「"いつも通り"だったから気付くのに遅れたんだ!!」
「つまり、えぇと、どういうことだ?」
「恐らく、魔法か何かで僕達が気付かない又は見えない状態にあるんじゃないか?」
「ウス、恐らく透明になっています」
「人手を増やしてもう1回探してみる必要があるな。知ってる先輩達にも協力してもらおうぜ。」
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作者名:DNA | 作成日時:2020年7月22日 23時