Embodying War 【本編】 (ページ20)

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第１９話　研修指導？３日目【？？？】ページ20

朝五時半。
蛇永は、まだ朝礼出席時間には早いということもあり、日課であるランニングをしていた。

と言ってももともと都市部に住んでいた蛇永が知っている廃戦乱区の地理は少ないためANNIHILATION の基地が見える範囲でのランニングだが。

　周りは都市部とは違い、どこか近未来的な巨大な建物が何軒も建っているが、そのどれもがどこかしら割れたり欠けていたりしていてもう機能しないことが解る。

「………廃戦乱区、初めて来たけどやっぱり広いんだな。

昔の発明だとか、まだ発見されてないものもあるから残されているらしいけど。………………………ん？」

そうやって暫く迷わない範囲でランニングをしているとふと、何かが目に入る。

よく、見てみたらそれはどうやら人のようで、
こちらに気付くとにこりと笑って頭を下げる。

つられて会釈すると、後ろから唐突に誰かに肩を叩かれる。

「うっびょぇあ？？！？、………えっあっ
　兎野さん！！いつからそこに！？」

「……めっちゃ凄い声出しやがりますね。
ちょっと朝のうちから外で調べものがあったんで。
その帰りで、たまたま見かけたから来ただけですよ。

………にしても、何に頭下げやがってたんですか？」

「え、あぁ、それは向こうのほうに人がいて＿＿＿あれ」

言われて、先ほど人が居たところに振り返ってみるとそこにはただ周りの建物に比べてあまり大きくもない目立たない一軒家がぽつんと建っているだけだった。

「……家しか無さそうですけど。」

「…………家しか無いですね。

すいません、なにか見間違えちゃったのかも＿＿」

言いながら蛇永がまた兎野のほうに振り返ると兎野に肩に手を置かれ、憐れんだような目を向けられながら一言。

「なんか…お疲れ様です。」
「……………………えっ」

「…じゃ、早く行きましょう。
そろそろ６時ですから、30分になったら朝礼始まっちゃいますよ。」

「あっ、はい！」

そういうと蛇永は、少し早い兎野を追うようににしてANNIHILATION へと帰っていった。

＿＿あの人はなんだったんだろう。

＿＿＿あとなんでさっき兎野に憐れんだ目でお疲れ様ですと言われたんだろう。

そう思いながら、彼は今日の研修を思い、心を新たにするのであった。