112話 ページ14
陽奈の目は涙で滲んでいく
『あの、黒尾さん……最近素っ気なかったのって』
｢ごめん！悩んでた。陽奈ちゃんは監督になってまだまだこれから音駒の女バレを導くんだし、俺が邪魔したら、とか。あとは指輪選んでた｣
黒尾は跪いたまま頭を下げるように俯いた
『……私でいいんでしょうか』
｢いいんだよ。陽奈｣
黒尾は優しく笑った
陽奈は泣きそうになりながら片膝をついてる黒尾に合わせて抱きついた
『こちらこそお願いします』
陽奈の震えている声に黒尾は嬉しそうに笑った
＊
黒尾家と日向家に挨拶を終え、結婚の了承を得てから2人はようやく一緒に住み始めた
｢いやー、綺麗で広い家を見ると、陽奈のあのボロ屋を思い出すねー｣
『ボロ屋じゃないです。あそこしか無かったんです』
荷物を整理しながら陽奈が拗ねたように言う
あの家は陽奈が就職してしばらく経ったあとに引き払って、もっといい家に住んだ
だが、黒尾は度々あのボロアパートのことを話題に出す
｢クリスマスパーティーした時なんか、足の踏み場もなかったし｣
『私はちゃんと言ったのにあなた達が押しかけてきたんでしょう？いや、最初はリエーフだった。リエーフが来て、私の家を狭いだの汚いだの暗いだの』
思い出したらリエーフに腹が立ってきた
｢あいつも今じゃモデルだから、世の中わかんねぇよなぁ｣
『あいつはスキャンダルで撮られてしまえばいい』
｢ぶっひゃっひゃっひゃっ！｣
陽奈の辛辣な言葉に黒尾は笑った
『でも、ベッド1つで良かったんですか？』
｢ん？なんで？｣
寝室に置いてある大きなベッドを見ている陽奈の後ろから黒尾が不思議そうに聞いた
『だって、黒尾さんの髪型、枕2つで挟んでるんでしょ？私がいたら邪魔じゃないです？』
陽奈の疑問を聞きながら、黒尾はニヤリと笑った
｢そーだね。だから｣
『わっ！』
黒尾は陽奈をベッドに押し倒した
｢セットする時間も入れないと、昨日何したかバレちゃうね｣
ニヤニヤする黒尾の髪型はお風呂上がりのようにペタンとしていた
お風呂に入った訳でもないし、今はお昼時にさしかかろうという時間帯だ
『そうですね。顔がうるさいです』
｢陽奈も好きなくせに｣
『当たり前です』
黒尾のニヤニヤに陽奈もニヤリと笑って返した
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かなぶん - めっちゃ好きです！どはまりの作品です！いいもの読ませていただきました！ありがとうございました！ (2022年9月16日 7時) (
レス) @page29 id: f7d43343b8 (このIDを非表示/違反報告)
カフェラテ - いい作品でした‼︎黒尾さんオチのお話が大好きです！ラストの短編集の「支配されてるのは」というところが良かったです。いい作品を作っていただきありがとうございました！ (2022年5月3日 11時) (レス) @page25 id: 2b0f4e3316 (このIDを非表示/違反報告)
はるまき(プロフ) - どタイプの作品すぎて、最高です！！！そこまで恋愛感が無く、プレイヤーの視点からも読める最高に面白い作品です！久しぶりにワクワクドキドキしました！ありがとうございますー！ (2021年11月21日 2時) (レス) @page24 id: 6af91a71bf (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 最高すぎんだろぉ！！！！！😭😭😭😭😭😭😭😭 (2021年11月19日 21時) (レス) @page15 id: 397318e50c (このIDを非表示/違反報告)
おちゃきち(プロフ) - 3作目の執筆ありがとうございます…！今の夢主ちゃんが意外とデレデレで頬が緩みました！20歳になるまでの間、辛辣な夢主に翻弄される黒尾さんや性格が柔らかくなっていく夢主の姿を想像しつつ、これからもこの作品を応援しています！ (2021年11月19日 17時) (レス) @page3 id: 78dc48b955 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サンマ | 作成日時：2021年11月19日 16時
