49話 ページ50
「えー、では、これより音駒高校男子バレー部のクリスマスパーティを開始します!カンパーイ!」
黒尾の演説を合図にみんなが一斉に紙コップに入ったジュースを持ち上げた
「カンパーイ!!」
陽奈はげんなりして騒ぎ出すみんなを見ていた
ここは陽奈の家で、部屋だ
しかし、もう足の踏み場はないし、陽奈の私物は押し入れや、あるのかないのか分からないほど短い廊下に押し込まれ、全員がぎゅうぎゅう詰めで座っていた
『馬鹿なんですか、馬鹿でしたよね』
「おい!リエーフ!俺が持ってきたプレゼント踏んでる!」
「夜久さん、もうちょっと譲ってください!俺は1番大きいんですから!」
もちろん壁が薄いため、迷惑にならないよう昼間にやっている
「でも、ほんとに狭い」
研磨が嫌そうに呟く
『だから言ったでしょう』
「だぁ!今俺の手、踏んだの誰だ!」
「仕方ねぇでしょ!狭いんですから!」
黒尾と山本が言い合っている
「だっ!家具に、家具に肘……」
先程までリエーフと取っ組みあっていた夜久が痛そうに呻いている
家具があるから尚更みんなは動きづらそうだ
まぁ、自業自得だが
「日向ちゃんの私服可愛いー!」
黒尾が言う
『黙ってください。はっ倒しますよ』
陽奈はガンを飛ばした
「ケーキ切り分けるか?」
「俺大きいやつがいい!」
「あ!灰羽くん、危ない!」
「おい!おめぇら!包丁持ってるやつの傍で暴れんな!」
「ケーキは景気がいい」
「これ、ホールより1個ずつの方が絶対良かったですよね」
「ホールって憧れてたんだよなー!」
ギャイギャイ騒ぐ男どもを見て、陽奈はため息を吐くと同時に楽しくなって笑った
こんなふうに友人とクリスマスを過ごすのも初めてだった
「日向が家主なんだから、大きいのでいいだろ」
海が紙皿に切ったケーキを取り分けながら言った
「陽奈、ずるい!」
『はいはい、交換してあげるから』
リエーフの言葉に陽奈は呆れたように言う
「マジで?!やったー!」
「リエーフ!もっと日向に遠慮をしろよ!」
『いいですよ、夜久さん。元々私、そんなに食べないんで』
「日向、ほんといい子だ」
夜久はなぜか感動していた
こうして騒がしいクリスマスパーティは午後まで続き、夜になる前に陽奈は全員を追い返したのだった
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時