47話 ページ48
「それ、ありだな!なんで思い付かなかったんだ?」
だが、陽奈の予想と反し、黒尾は嫌な顔をひとつせず、逆に名案だと言うように頷いていた
『いや、大変じゃないんですか?嫌ですよね?別に心配してくれなくていいですよ?』
「いや、そっちの方が楽でいいな。ちょっと遠回りだけど、どうせ道中だし、心配事も減るしな」
黒尾はそう言って陽奈の頭を撫でた
『……少女漫画の読みすぎですね』
陽奈は今こそ確信を持って言えた
「クロは少女漫画よりジャンプ派だよ?」
『いえ、行動が、少女漫画の中のキザな奴らみたいで』
「あぁ、確かに」
「研磨!そこは否定しろよ!」
陽奈の頭を撫でていた黒尾は怒ったように研磨を指さした
『とりあえず、送り迎えありがとうございます。面倒になったらいつでもやめてくれて構いません』
陽奈はそう言って頭を下げた
「面倒じゃないし、やめないよ」
黒尾はニヤッと笑って言って、手を振った
『やっぱりキザ野郎……』
陽奈は自分の部屋へ足を向けながら、考えるようにそう呟いた
誰かに心配してもらうのは案外、悪くないことなのだとその時初めて思った
*
次の日の早朝、陽奈がいつも通り部屋を出ると、黒尾と研磨がアパートの前で待っていた
本当に迎えに来てる!
陽奈は驚いた顔で黒尾と研磨に慌てて駆け寄る
『本当に来たんですね』
「来ないと思ったのー?俺はそんなに薄情じゃないんですよ」
黒尾がニヤニヤしながら言った
陽奈は1番意外だった研磨を見る
「まぁ、女の子1人じゃ危ないっていうのも一理あるし、遠回りって言ってもそれほど遠くなかったから別に」
「研磨は素直じゃねぇなぁ」
「クロ、うるさい」
『ありがとうございます』
陽奈はそう言って笑った
黒尾はじっと陽奈を見つめたあと、慌てて言う
「そ、れじゃ、行くかー」
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時