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47話 ページ48

「それ、ありだな!なんで思い付かなかったんだ?」


だが、陽奈の予想と反し、黒尾は嫌な顔をひとつせず、逆に名案だと言うように頷いていた


『いや、大変じゃないんですか?嫌ですよね?別に心配してくれなくていいですよ?』


「いや、そっちの方が楽でいいな。ちょっと遠回りだけど、どうせ道中だし、心配事も減るしな」


黒尾はそう言って陽奈の頭を撫でた


『……少女漫画の読みすぎですね』


陽奈は今こそ確信を持って言えた


「クロは少女漫画よりジャンプ派だよ?」


『いえ、行動が、少女漫画の中のキザな奴らみたいで』


「あぁ、確かに」


「研磨!そこは否定しろよ!」


陽奈の頭を撫でていた黒尾は怒ったように研磨を指さした


『とりあえず、送り迎えありがとうございます。面倒になったらいつでもやめてくれて構いません』


陽奈はそう言って頭を下げた


「面倒じゃないし、やめないよ」


黒尾はニヤッと笑って言って、手を振った


『やっぱりキザ野郎……』


陽奈は自分の部屋へ足を向けながら、考えるようにそう呟いた


誰かに心配してもらうのは案外、悪くないことなのだとその時初めて思った





次の日の早朝、陽奈がいつも通り部屋を出ると、黒尾と研磨がアパートの前で待っていた


本当に迎えに来てる!


陽奈は驚いた顔で黒尾と研磨に慌てて駆け寄る


『本当に来たんですね』


「来ないと思ったのー?俺はそんなに薄情じゃないんですよ」


黒尾がニヤニヤしながら言った


陽奈は1番意外だった研磨を見る


「まぁ、女の子1人じゃ危ないっていうのも一理あるし、遠回りって言ってもそれほど遠くなかったから別に」


「研磨は素直じゃねぇなぁ」


「クロ、うるさい」


『ありがとうございます』


陽奈はそう言って笑った


黒尾はじっと陽奈を見つめたあと、慌てて言う


「そ、れじゃ、行くかー」

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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時

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