45話 ページ46
『なんでも、呼ばれてない宮城の合宿に参加するつもりらしいですよ』
「え」
陽奈の言葉に研磨も信じられないという顔をした
「うはー、チビちゃんって本当に奇想天外だねー」
タオルで汗を拭いていた黒尾が言う
『一応、行くなよとは送りましたけど』
陽奈はもう一度翔陽のメール文を見て、うんざりした顔をした
『ほんとに馬鹿……』
「日向が馬鹿なのはいつもだろー!」
リエーフが元気よく言う
『あんたも大概だよ』
陽奈は呆れたように言った
どうせ行っても帰されるか、怒られて帰されるかのどっちかしかないだろうし、東京にいる私が心配しても仕方ないことだしな
陽奈は無意識にため息が出た
練習も終わり、みんなが続々と帰る中で陽奈も鞄を持って帰ろうとしていた
「あ、日向ちゃん、途中まで送るからねー」
歩き出そうとした陽奈に対して体育館の鍵を閉めていた黒尾が笑いながら言った
体育館の隅に座っていた研磨も一緒だ
『あ、ありがとうございます。研磨さんも』
「いいよ、別に。駅までの道中なんでしょ?」
研磨は黒尾を呆れたように見たあと陽奈に言った
『でも、なんで送ってくれるんです?』
「夜は危ないし、俺は優しいから」
黒尾はにっこり笑って言った
「クロ、胡散臭い」
研磨が引き気味に言う
「こぉら!ケンメァ!そういうことは心に留めておくのが優しさってものだろうが」
黒尾の言葉に研磨は陽奈を指さした
黒尾もその指を追って陽奈を見る
陽奈も若干引いた顔をしていた
「日向ちゃん、顔に出ちゃうなら言われた方がまだマシだよ」
『え、いや、はい』
陽奈は眉を寄せて言った
「態度が辛辣!」
黒尾はワッと両手で顔を覆った
そんな調子で他愛もない会話をしながら歩いていけばすぐに陽奈の家に着いた
「え、ここに住んでるの?」
研磨はアパートを見上げて引き気味に陽奈に聞く
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時