私は今日もトスを上げる (ページ44)

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43話ページ44

リエーフは未だブロックのときに腕をぶん回し、芝山はボールを取れずにいた

｢すんません！｣

芝山が頭を下げた

チームだからサーブミス以外誰かのせいってことはない

リエーフ、チームワークって「チーム」って難しいよね

次のブロックではリエーフは腕をぶん回すことはなく、芝山がボールを上げた

陽奈は口元に笑みを浮かべる

山本がスパイクを打ち、ブロックに当たってボールは客席の方へ

落ちた

音駒が勝ったのだ

「「分かった！！」」

｢俺の左抜けたら、芝山がいるって！｣

｢ボールは絶対ここに来るって！｣

「「見えた！！」」

リエーフと芝山は興奮したようにハイタッチを交わした

｢どーよ。止めるだけじゃなかったブロックは｣

黒尾が聞く

｢芝山と俺、2人で夜久さん1人分で、だから力を合わせなきゃいけないんだって思って、そんで今の1本で芝山の言った意味がわかりました。

でも、それだけじゃなくて、ネット挟んで手を触れるわけでもなく、スパイカーを操るの最高でした！｣

リエーフが拳を握って言った

黒尾は笑みを浮かべた

「ありがとうございました！！」

戸美学園との試合が終わった

春高行きが決まったのだ

3年は抱き合い、夜久は芝山を嬉しそうに抱きしめた

体育館から出て、帰るために移動する中で黒尾と海は夜久を担ぎ、その後ろで陽奈はカバンを持ってついて行った

｢少なくともこの試合中、多少まぐれでもリエーフの持ち味が発揮される方がいい気がしてた。でも、あいつはその上をいきやがって｣

黒尾は満足気な表情だ

｢お前、下手くそには下手くそって言ってやれよ。具体的にな｣

夜久があっさりと言う

｢いや、自分がレシーブできなかった直後にブロックが悪い、修正しろ、なんて、中々言えないよ｣

海が言った

｢そーそー。やっくんほどレシーブに自信満々じゃないからね｣

｢？じゃあ、自信満々になれよ｣

｢うん、ちょいちょい無茶言うよね｣

夜久の言葉に黒尾が呆れたような声で言った

陽奈は後ろでクスクス笑った