私は今日もトスを上げる (ページ41)

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40話ページ41

リエーフは熱くなっているのかブロックする手を振り回していた

そんなことしたら後ろが取りにくいと分からないのだろう

陽奈は何も言わずに試合を見守った

｢リエーフ！腕ぶん回すんじゃねぇ！取りづらいだろうがぁ！｣

夜久が怒鳴った

｢でも夜久さんは絶対取ってくれるじゃないですか！｣

リエーフが怒鳴り返す

｢な、なんだよ｣

｢満更でもない顔してんなよ。鬼先輩｣

黒尾が呆れたように横から言い、それを聞いた夜久は黒尾を睨みつけた

それからもリードに持ち込めず、五分五分の試合が続く

｢ワンチ！｣

リエーフが叫ぶ

山本が上げるも、不安定な体勢だったため、ボールは立ち見席の方へ飛んだ

夜久はそれを追い掛け、拾い上げ、相手コートに返った

戸美も繋いで返すが、リエーフが打ち落とした

陽奈はホッとして夜久の方を見て、ベンチから立ち上がった

｢夜久さん！今のレシーブ…｣

夜久は足を引き摺っていた

｢クソッ｣

黒尾がすぐさま駆け寄る

『芝山、氷』

｢あ、はい！｣

陽奈は芝山に指示を出した

｢すんません！｣

夜久は足を踏んでしまった観客に頭を下げた

｢大丈夫だ…｣

夜久がそう言って1人で歩こうとした時、足に痛みが走ったのか苦痛に顔をゆがめ、よろけた

やっぱり……

『夜久さん、こっち！』

陽奈は眉を寄せて強く言いながらベンチを指さした

夜久は犬岡と直井の肩に腕を回し、ベンチの方へ来る

｢悪い｣

｢やっくんにはいつも面倒かけてるんで、たまにはベンチから音駒の勝利を見るのもいいんでないの｣

黒尾が笑いながら言った

｢心配するな、全国大会までのちょっとした休憩だ｣

海が言う

夜久が悔しんでいるのを分かっているからこその言葉だろう

陽奈はこれまで経験したこと無かった「チーム」を目の当たりにして拳を握った

夜久の代わりに芝山がリベロとして入った

しかし、大将のスパイクを上げれない