34話：春高予選 ページ35
『黒尾さん』
｢んー？｣
春高予選の組み分け表を見ながら黒尾が生返事をする
『少女漫画の読みすぎどころじゃないんですが？』
陽奈の頭は黒尾の手によって掴まれたり撫でられたりといじり倒されていた
『なんっ………な……気持ち悪い』
｢辛辣！｣
陽奈が耐えきれずに言うと、黒尾はそう言いながら手を離した
『なんなんですか、一体……』
｢女バレに戻ったりしねーよな？｣
黒尾の言葉に陽奈は驚いたように黒尾を見る
｢女バレの主将が日向ちゃんのこと話してるの聞いてさ｣
黒尾は気まずげに目をウロウロさせながら言った
『戻りませんよ。ここの男バレが好きなので』
陽奈はそう言って笑った
｢なら、嬉しいよ｣
『……で、なんで頭を触るんです？』
陽奈はジト目で黒尾を見やる
｢ふわふわな髪、触りたくなっちゃう。癒しを求める、的な？｣
黒尾は手のひらを上に向け、指をバラバラに動かしながら考えるように言った
『一歩間違えたらセクハラですよ』
｢うっす｣
黒尾は怯えたように返事をして、コートに戻っていった
『フワフワ……』
陽奈はそう呟きながら、ポニーテールにされている髪の束を少し触った
＊
春高予選、準決勝の試合
『黒尾さん、女子の試合、もうすぐ終わります』
陽奈は待機していた音駒のチームに言いに行った
｢さぁて、準決勝。ここを勝って決勝に進んだ時点で全国だ。いつも通り行こうや｣
「あっす！！」
｢いつも通り、ハイレベルな守備とチームワーク。そして決定力に欠けるネコちゃん｣
戸美学園の主将がこちらへ来ながら揶揄うように言った
｢あぁん？！｣
山本が威嚇する
｢やめとけ、山本。蛇野郎を相手にするな｣
黒尾が冷静に言う
｢お前、いっつもその頭だけど、身長サバ読んでなぁい？本当は180ないんじゃない？｣
大将は黒尾を指さしながら言った
｢はぁん！？そんなセコいことしませんー！ちゃんとグッてやって測ってますー！！｣
そう言いながら黒尾は自身のトサカを手で抑えた
『黒尾さん、山本さん、やめてください』
陽奈が呆れたように言った
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作者名：サンマ | 作成日時：2021年10月26日 21時
