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32話 ページ33

「まぁ、佐久早のいる井闥山は優勝候補筆頭だけどな」


黒尾は苦笑する


勝てるか分からない相手と試合をすると考えると、いつだって緊張する


「じゃあ」


「「それを倒せば、日本一ですか?!」」


翔陽とリエーフが同時に言った


『馬鹿なの?』


「言うねー!下手くそトップ2!」


陽奈は呆れたように、黒尾は悪い笑みを浮かべながら言った


「日向が1位か」


「研磨がサーブもレシーブも俺の方が上手いって言ってたぞ!」


「ガーン!」





BBQの後片付けも終わり、みんなで烏野を見送る


「じゃあ、またな!」


「おう!また!」


黒尾と澤村が言った


『翔陽』


陽奈は顔の横で手を振りながら翔陽の名を呼んだ


翔陽は嬉しそうに笑って大きくてを振り返した


こうして夏の合宿は無事終わり、陽奈は翔陽との関係に一歩踏み出したのだった





「日向陽奈さん?」


合宿も終わり、これから春高予選が始まるというのに


「私、女バレのマネージャーなんだけど」


なんで面倒くさそうなことが起こるかな


廊下の片隅に呼び込まれ、陽奈はマネージャーを胡散臭そうに見下ろした


『はい、あの、知ってます』


女バレの主将といつも一緒にいたマネージャーだ


これでいじめに来た、とかだったら逃げるつもりでいたけれど、どうもそうでは無さそうだ


彼女たちは陰口は叩くが、意味もなく人をいじめるような人達ではないことは知っている


「実は……春高予選のことで話があって」


マネージャーは気まずそうに目を逸らしながら言った


そりゃそうだ


陽奈に陰口を叩き、追い出そうとしていたのはマネージャーも例外ではないのだから


女子の団結力は今思えば恐ろしいものだ


『手短にお願いします。部活に行かなくちゃいけないので』


陽奈がそう言うと、部活という言葉にマネージャーが嫌に反応した


マネージャーは手をお腹の前で組み、モジモジと動かしている


『なんでしょう?』


陽奈は首を傾げ、先を促した


「お願い!部活に戻ってきて欲しいの」


マネージャーは突然頭を下げた


陽奈は驚いてマネージャーの後頭部を見つめる

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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時

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