32話 ページ33
「まぁ、佐久早のいる井闥山は優勝候補筆頭だけどな」
黒尾は苦笑する
勝てるか分からない相手と試合をすると考えると、いつだって緊張する
「じゃあ」
「「それを倒せば、日本一ですか?!」」
翔陽とリエーフが同時に言った
『馬鹿なの?』
「言うねー!下手くそトップ2!」
陽奈は呆れたように、黒尾は悪い笑みを浮かべながら言った
「日向が1位か」
「研磨がサーブもレシーブも俺の方が上手いって言ってたぞ!」
「ガーン!」
*
BBQの後片付けも終わり、みんなで烏野を見送る
「じゃあ、またな!」
「おう!また!」
黒尾と澤村が言った
『翔陽』
陽奈は顔の横で手を振りながら翔陽の名を呼んだ
翔陽は嬉しそうに笑って大きくてを振り返した
こうして夏の合宿は無事終わり、陽奈は翔陽との関係に一歩踏み出したのだった
*
「日向陽奈さん?」
合宿も終わり、これから春高予選が始まるというのに
「私、女バレのマネージャーなんだけど」
なんで面倒くさそうなことが起こるかな
廊下の片隅に呼び込まれ、陽奈はマネージャーを胡散臭そうに見下ろした
『はい、あの、知ってます』
女バレの主将といつも一緒にいたマネージャーだ
これでいじめに来た、とかだったら逃げるつもりでいたけれど、どうもそうでは無さそうだ
彼女たちは陰口は叩くが、意味もなく人をいじめるような人達ではないことは知っている
「実は……春高予選のことで話があって」
マネージャーは気まずそうに目を逸らしながら言った
そりゃそうだ
陽奈に陰口を叩き、追い出そうとしていたのはマネージャーも例外ではないのだから
女子の団結力は今思えば恐ろしいものだ
『手短にお願いします。部活に行かなくちゃいけないので』
陽奈がそう言うと、部活という言葉にマネージャーが嫌に反応した
マネージャーは手をお腹の前で組み、モジモジと動かしている
『なんでしょう?』
陽奈は首を傾げ、先を促した
「お願い!部活に戻ってきて欲しいの」
マネージャーは突然頭を下げた
陽奈は驚いてマネージャーの後頭部を見つめる
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時