24話 ページ25
『あの』
陽奈が口を開くと、コートに向かっていた黒尾と木兎と赤葦と月島がこちらを向いた
『………あの』
言っていいのだろうか
自分はただのマネージャー、しかも性別が違う
でも、猫又監督が自主練を見させたんだ
私に、バレーを渇望させた
『木兎さんに、トスを上げたいです!』
陽奈からそんな言葉が出るとは思わなかったのか、黒尾たちはキョトンとしていた
木兎は少しポカンとしていたが、すぐに言葉を呑み込み、嬉しそうな顔をした
「マジで?!黒尾から聞いたんだけど、元女バレのセッターだったんだって?上手いの?!俺にトス上げれるの?!」
『いや、あの、いいんですか?私、女子で、しかもマネージャー』
「自主練なんだし、関係ないんじゃない?僕も、ずっと木兎さんにあげるのは疲れるし」
「赤葦?!」
赤葦の言葉に木兎は驚いたような傷付いなような顔をした
「いいじゃん。日向ちゃんのトス、俺も見たかったし」
黒尾は笑いながら言った
陽奈は少し驚いた後に微笑んで、頷いた
『ありがとうございます!』
*
次の日、月島は早々に黒尾から習ったブロックを意識して飛んでいた
黒尾は試合中にも関わらず、そんな月島を見て、嫌な笑い声を上げ、研磨は引いていた
翔陽は相変わらず下手っぴのままだっだ
しかし、焦っても何かが変わるわけじゃない
それは本人が1番よく分かってるはずだ
だからこそ、セッターが手を抜いちゃいかんでしょ
「おい!今、手抜いたな!」
翔陽は影山を睨みつけながら言った
「は?手を抜く?俺が?バレーで?」
影山も翔陽を睨みつける
「もう一回、言ってみろよ」
「今の、落ちてくるトスじゃなかった!」
気持ちよく打たせるのはセッターの役目じゃない
セッターは、スパイカーが本当に欲しているボールを持って行ってあげるだけ
余計な仕事はいらない
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時