私は今日もトスを上げる (ページ22)

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21話ページ22

｢なんか地雷踏んだんじゃないですか？黒尾さん｣

赤葦の言葉に黒尾は気まずそうな顔をする

｢おっこらしたー。大失敗じゃん。挑発上手の黒尾くん｣

木兎が楽しそうに言った

黒尾はタオルを持ってきた陽奈を見たあとに、下を向いた

｢いや、だって思わないだろ｣

｢何を？｣

｢烏野のチビちゃんは確かに得体が知れないし、脅威だけど、技術も経験もひよこだろ。それにあの身長だし。それをあの身長も頭脳も持ち合わせてるメガネくんが、チビちゃんを対等どころか、敵わない存在として見てるなんてさ｣

陽奈は軽く黒尾の足を蹴った

｢いた！日向ちゃん？！｣

『いえ、当たっちゃっただけです』

陽奈はそう言って、黒尾から目を逸らした

＊

次の日も烏野は噛み合わず、ずっとペナルティの坂道ダッシュをしていた

体力エグいなぁ

｢みなさーん。森然高校の父兄のみなさんからスイカの差し入れです｣

そう言って森然のマネージャーがスイカを持ってきた

休憩時間となり、全員が体育館の外に出て、スイカを食べていた

｢あざーす！｣

リエーフが嬉しそうに陽奈が持っていた皿からスイカを取り上げ、翔陽の方へ走っていった

黒尾はスイカを食べ終わったあと烏野の主将の方に月島のことを謝りに行っていた

その後も烏野はずっとペナルティを行っていた

｢今日も自主練監視、頼んだよ｣

『はい』

夕食の準備を手伝いに行こうとしたところで猫又が楽しそうに言った

あの人は、私に何をさせたいのだろうか

黒尾さんたちの練習を見ていて、私に得があるとは思えない

あったとしてもせいぜい、バレーが好きだと再認識するくらい

目の前にあると、渇望してしまうのだ

自分が上げたトスを気持ちよく打ってくれそうな人がいると、上げたい、打たせたい、音を鳴らしたいとそう思ってしまう

｢日向ちゃーん、行くだろー？｣

『はい』

木兎に連れられた黒尾が手招きして陽奈を呼び寄せた