17話 ページ18
「どうしたんですかね、烏野。調子悪いんでしょうか?」
直井の心配げな言葉に猫又は笑った
『その逆ですよ』
「え?」
「烏だけあって、流石の雑食性。深い山の奥だろうと、歌舞伎町のど真ん中だろうと、食べられるものは全て食べ、自分より強いものは利用し、生き残る。恐らくあれは、驚くべきスピードで進化している途中だよ」
猫又は嬉しそうに言った
烏野は負けたペナルティで裏の坂道をダッシュしていた
「こっちの試合、どんな感じだ?」
練習試合を数回やり終わったあと、猫又が聞いてきた
『全体的にレシーブ力が低下してますね。初心者であるリエーフを入れたから仕方ないですけど。
スパイクはいい感じですけど、レシーブは夜久さんや黒尾さんに鍛えてもらうしかなさそうです。他はいつも通り順調だと思いますよ』
陽奈は試合の内容を記録したボードを見ながら言った
「日向」
『はい?』
「練習終わりの自主練に付き合ってあげなさい。オーバーワークしないように」
『?……はい』
3年生がいるのだからオーバーワークになることはないだろうし、自分が居なくても自主練はできる
それなのにそんな提案をした猫又を陽奈は不思議に思ったが、その疑問を口にすることなく返事をした
日が傾いた頃、ようやく練習が終わった
烏野はペナルティの坂道ダッシュをし始めている
『黒尾さん、自主練、一緒に行きます』
「おー、でもなんで?」
『さぁ……猫又監督が』
陽奈がそう言うと、黒尾はタオルで汗を拭いながらふーん、と気のない返事をするだけだった
「んじゃ、第3体育館行くかー。リエーフ、お前もレシーブ練しに行くぞ」
「えぇ!?」
休んでいたリエーフは黒尾の言葉に嫌そうな顔をする
『リエーフ』
陽奈が圧をかければ、リエーフはビクッと肩を跳ねさせて渋々といった様子で地べたから立ち上がった
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年10月26日 21時