34話 ページ35
数年後
「美南、美南、起きいや」
トントンと体を叩かれるのを感じて、美南は目を開いた
そこには北が愛おしそうな顔で美南を起こしている姿があった
「恋人でもない男に起こしてもらうのはやめえや」
北はその表情のままに言う
『す、すまん』
美南はそう言ってバッと上体を起こした
「今日、大学は?」
『課題提出してすぐ帰ってくる。単位足りとるしな』
「ほんなら、昼食も作っとくわ」
『おん』
北はそう言って部屋を出ていく
『危ないわ』
美南はそう呟いて、着替えてからリビングへ向かった
北は農家を営んでおり、美南は特に将来の夢などもないので、何となく大学に入っていた
いつも何となくで過ごしていたが
「美南、今日も可愛ええな」
『お、う。ほんなら行ってくるわ』
北への返事は何となくじゃダメだ
付き合えるかどうかをずっと考えてきた
もちろん付き合える
けど、相手は農家のしっかりもので、美南は何となく人生を歩んできた面倒くさがり
このまま同じような気持ちで北と過ごすのは北に失礼だと判断していた
『……バレーボール協会』
美南は就職先を見つめながら呟く
単位も論文も何もかも北が早めにやっておき、と言うのであとは就職先を決めるだけで美南は大学から解放されたも当然だった
一番先に考えるのはバレーボール協会
3年間なんとなくでもバレーボールと触れ合ってきた脳はその会社に惹かれた
『よし』
美南はそう意気込んで、履歴書を書き始めた
*
それから数日後、バレーボール協会の合格通知が来た時に美南は夕食を食べ終わって、正面に座っていた北に告白した
『信介、私、信介が好きや』
北は驚いた顔で美南を見つめる
「ほんまか?」
『ほんまや。今まで待たせてしもてすまんな』
美南がそう言って笑えば、北は椅子から立ち上がって美南を抱きしめた
「いや、すごく嬉しいわ」
北の嬉しそうな声に美南はまた笑った
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あまね(プロフ) - 完結おめでとうございました!久しぶりに見てめちゃキュンさせてもらいました!ありがとう御座います! (11月18日 0時) (レス) @page39 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
あい - Eカップは大して珍しくないですよ。 (2023年1月4日 9時) (レス) @page10 id: ab06a6fc10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンマ | 作成日時:2021年11月21日 18時