57話 ページ8
A視点
「それじゃあ、わしの事を黙っとく代わりにお前さんの事も黙っておこうかのう」
「！もしかして、態と言いました？」
「ん？何を？」
「……いえ、なんでもありません」
アタシは湯呑みを掴みお茶を飲んだ
こう言う気遣いをガープさんは態としているのか無自覚でしているのか……
まァ、ガープさんからのご好意なら有り難く受け取っておこう
「煎餅も食うか？」
煎餅の袋を開けて1枚食べながらアタシに口が開いてる部分を差し出してきた
「……くれるのであれば、いただきます」
袋の中に手を突っ込み1枚取り出してアタシもパリパリと食べ始めた
「そう言えば、クザンさんに秘書とか着いたの知ってました？」
「あァ、そういやそんなの付けるって言っておったのォ。
確か新兵から選出された筈じゃ」
「でしょうね」
階級がある人達は普通に忙しいからとなると新兵が抜擢されるのは自然だ
何より、サカズキさんにもボルサリーノさんにも居ないのにクザンさんには居るって事は要はあの人がどんだけ仕事をしていないのかがよく分かる
「なんじゃ、嫉妬か？」
「？何故？
アタシはクザンさんの恋人じゃなければクザンさんに恋もしてません」
仕事が捗るのであればアタシはなんだって構わないしなァ
ニヤニヤしながら聞いてきたガープさんはつまらんと言ってお茶を飲み干した
その湯呑みにお茶を注いだら「あァ、すまんな」と言いながら煎餅を食べていた
「まァ、クザンよりもいい奴はいっぱいおる。
あんな女癖が悪い奴よりももっといい男を選べ。
サカズキなんかどうじゃ？
彼奴の正義はあまり好かんが恋愛に対しては真面目に向き合うじゃろ」
「いや、別にクザンさんに恋してませんし、そう言うのはまだいいです」
「若いうちに楽しんどくもんじゃよ？」
「目的を成し遂げたら色々楽しみますよ」
アタシはお茶を飲み干し、食べていた煎餅も食べてしまった
「それでは、アタシは仕事があるので失礼します。
煎餅とお茶、ありがとうございました」
それだけ言いアタシは外に出て自分の執務室へ向かった
着いたら早速書類整理をしていたらハートの姿があった
「どうかした？ハート」
「……麦わらの件がどうにも納得出来ません。
コレに不信感を抱いているのは私だけじゃありません。
もっとちゃんとした説明をお願いします」
ハートは真っ直ぐにアタシの方を見ながらそう言った
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