54話 ページ5
A視点
「初めまして！A中将！
昨日からクザンさんの秘書となりましたナナと申します！」
秘書？
「大将に秘書が付くなんて聞いてませんけど？」
今まで大将に秘書が付いてたなんて聞いた事ないし……
「なんでもセンゴクさんがAちゃんへの書類の負担を減らしたいから付けたらしいよ」
ゲッソリしながらもクザンさんはそう答えた
成る程、それでクザンさんの元に秘書が……
確かに、妥当な考えだな
アタシの仕事にクザンさんの書類整理が回ってこなければアタシがその書類をする必要はなくなるからなァ
そもそも、アタシの仕事量を減らすのならば、クザンさんが自分の仕事をしっかりすればいい事なんだよね
「あァ、それとこの間の件はもう解決したからAちゃんには来週から普通に休みを設けるつもりだよ」
「え！？いつの間に……
言ってくださればアタシの方で対処しましたのに……」
「ついでだよ、ついで。
他の仕事のついでに対処したから気にしなさんな」
「何から何までありがとうございます」
アタシは最後に敬礼をし、失礼しますとだけ言い外に出た
取り敢えず、お咎めは無しだったのは良かった
まァ、本当の事を話してないから無しなんだろうけど……
今日はこの後の仕事はないから執務室で書類整理でもするか
「あ！クザンさん！！
逃げないで下さい！！」
「ちょっと昼食食べに行くだけだって！」
「さっきそう言って逃げたじゃないですか！！」
「今回はマジで！！
腹減って死にそうなの！！」
執務室に向かっていたら背後からそんな声が聞こえた
……大変だなァ、クザンさんの秘書って……
「あ、Aちゃんも昼食まだでしょ？
今からどう？」
さっき別れた筈のクザンさんが隣に立ちアタシにそう言ってきた
「……そうですね……
一緒に行けば彼女の見張りの代わりになるでしょう」
「見張りって……」
「ハァ、ハァ……」
少し遅れて息切れをしながらナナもアタシ達の元に来た
「ほ、ホントに逃げないですか……？」
「逃げない逃げない。
Aちゃんのお目付けもある訳だし……」
「しかし、それで逃げてしまったら……」
「食べ終わったらアタシが責任を持って送り届けるのが条件ならどう？」
「送り届けるって……」
「……まァ、それでしたら……」
ナナはアタシの提案に渋々と言った感じで納得し、クザンさんの執務室へ戻っていきアタシとクザンさんは食堂へ向かった
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