78話 ページ29
A視点
「それにしても、資料が沢山あるねェ」
コレ全部自分で調べたの？」
「はい。
持ち出しは厳禁だったので、倉庫から集めた情報を紙に書き写して保管してます。
廃棄する物とかは偶に持ち出してますけど」
「それをおれの前で言うのが凄いよねェ〜。
お、珍しい物もある、じゃ……」
棚から書類を手に取りページをめくった音が聞こえた後、話し声が聞こえなくなり書類からクザンさんに視線を向けたら固まった表情をしていた
「……この手の物ばっかり集めてるの？Aちゃん」
そう言ったクザンさんは書類を握りしめて険しい表情をしながらアタシの事を見ていた
「そうですね。
政府がいい事をした書類を集めると五月蝿いんですよ。
だから自然と……」
「そっか」
誰が五月蝿いのかは言ってないのにクザンさんは納得した表情を見せていた
「あまりこの手の調べ物はしなさんな。
こんな事をして、上が黙ってるとは思えないからな」
「分かっています」
「それじゃ、気楽に仕事を続けなさいよ」
アタシの頭を撫でた後、クザンさんは執務室から出ていきアタシはソファに置かれた書類に視線を向けた
「まァ、別に……
こんなのを調べた所で政府への不信感とかを抱く訳じゃないんだけどね」
「そうだね。
Aちゃんはとっくの昔から政府に対して不信感を抱いてるもんね」
「だからおれ達の言葉にも耳を傾けなかった」
「不信感は増幅せず、結果政府の犬となった」
「Aの事は好きでも、そこだけは好きじゃないな」
「なんとでも言いなさい」
この仕事が1番彼奴への近道なんだから……
出てきた悪魔達はアタシの言葉を聞いて中に入っていくのを確認しながら立ち上がってクザンさんが見ていた書類を手に取った
「白い町 フレバンス……か」
政府加盟国であっても滅ぼされた街……
その存在を周りは知らないから、加盟していた方が平和だと安心しきっている市民達
加盟してない国を差別し、安堵を与えている世界政府
そんな事はアタシが調べなくても知っていた事実
悪魔達に何を囁かれようが、今更知っている事を大袈裟に囁かれて自分の価値観が変わる訳がない
「もし、変わる前に悪魔達から囁かれていたら、もっと憎しみが増幅していたのかもね」
でも、それで世界が成り立っている
なら、海兵としてアタシはその役目を果たそう
「まっ、上の連中に従ってやる程アタシは出来た人間でもないんだけどね」
そう思いながら資料をそっとしまった
クザンさんが開いていたページにはフレバンスに1名、生き残りが居ると書かれていた
また、机の上にはニコ・ロビンの手配書とオハラについての資料が置いてあった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
