77話 ページ28
A視点
あれから数週間が経ち、なんだか大量に書類をナナが持ってきては勝手に持って帰ると言う不思議な生活を送っていた
と言うか、仕事量が全然減ってないし、楽になったのは持ち運びが無くなっただけでクザンさんに秘書がついた所でアタシの負担が何も変わってない……
「ハァ……」
ちょっと疲れたから項垂れるように机の上に顔を置いた
……なんだか、最近クザンさんに会ってないような……
いや、クザンさんに会ってないから何？
そもそも、今まで書類を提出する為にクザンさんを毎日会ったり探したりしてた生活の方が可笑しいんだから……
？どうして今、クザンさんの事を考えた？
「あらら？今お疲れ？」
机に顔を乗っけたまま前を見たらクザンさんの姿があった
……ついに幻覚まで見始めた？
クザンさんの幻覚まで見るとか相当参ってるなァ……
今日は早めに切り上げよ
そんな事を考えながら目を擦ってみたが、クザンさんの姿は消えなかった
……あれ…幻覚じゃ……ない！？
バッと起き上がったらやっぱりクザンさんの姿がそこにはあった
「？どうかした？」
「へ、あ、いえ……
クザンさんこそ、何か用ですか？」
「ん？最近書類の数が少なくてさ。
ナナちゃんがいっぱいやってくれてるからそのお陰もあって今休憩中だから久し振りにAちゃんの顔を見ようと思って」
「久し振りと言っても数週間会ってないくらいですけどね」
アタシに会いに来たと言う言葉に何処か小っ恥ずかしさを覚えてアタシは思ってた事と反対な事を言ってクザンさんにそう言った
クザンさんは確かにと笑いながら執務室に備え付けてあるソファにドカッと座った
その光景を見た後、アタシは書類整理を再開した
「！……この手配書、どうしたの？」
沈黙が少しだけ流れた後、それを破るように言ったクザンさんはソファの近くにある机の上に置いていた手配書を手に取りながら見ていた
「少し、気になる事があって……」
「……そう」
手配書を見つめるクザンさんの目つきは何処か懐かしむような、悲しそうな表情をしていた
その表情を見てアタシは何故か心がチクッと痛んだが、それに気づかないフリをするように書類を見た
「かなり調べたんだな」
「気になったら調べ出してしまって……
上に行けば行く程この手の情報が簡単に手に入るのもあって余計にのめり込んで調べてしまいました。」
「確かになァ」
ふぁと欠伸をしながら手配書を元の位置に戻して今度は周りをキョロキョロと見回していた
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