65話 ページ16
A視点
「は？何その噂」
「え？だって新兵の間ではA中将はコネか体を売って中将になったって噂は有名ですよ？」
ハートは睨みながらナナを見ていたがナナはニコニコしながらオムライスを食べていた
「別にアンタが何を思おうとアタシには関係ない事。
正直な話、アタシは噂を態々訂正しにいくつもりはない」
ハッキリ言ってそんな事をしてる方が時間の無駄
「って事はやっぱり……」
「まァ、新兵の訓練をやってる教官にはもっと指導をキツくしてやれとは言いに行こうかな」
「は？」
ナナはアタシの言葉にニヤリとしていた表情から素っ頓狂な表情に変わった
「何か可笑しい事でも言った？
噂が広まるって事は噂をしてる程余裕があるって事でしょ？
となると、鍛錬が足りないから新兵止まりって意味になる」
「そ、そんなの……」
「屁理屈だって言いたいのならどうぞ。
ただ、アタシはそうやって怠けてる奴等を庇ってやる程お人好しでもないんでね。
戦場に出て辛いのはアンタ達新兵。
現場で役に立たない奴を庇う事もしないし、足手纏いになるから連れても行かない」
「な、なんでそんな酷い事を……！！」
「アタシが連れて行くのは役に立つ奴。
アタシが庇うのは血の滲むような努力をしてる奴。
それ以外は全員対象外よ」
「そんなの、いくらなんでも……！」
「横暴だと言いたいのならアタシに意見を言える立場になりなさい。
まっ、新兵のアンタが中将になるのは10年以上後の話だろうけど」
下手したら一生なれないなんて事もあり得るだろうね
「先に言っておくけど、体を売った所で出世は出来ない。
発言力を得たいのなら偉くなりなさい。
今のアンタにアタシの考えを否定される筋合いはない」
アタシはおばちゃんに言ってお箸を取り替えてもらい食べ進めたらクザンさんとハートも何食わぬ顔で食べ始めた
「っ……！く、クザン大将はなんとも思わないんですか！？」
「ん？おれは別にAちゃんの正義を否定するつもりはないよ。
おれにはおれの、AちゃんにはAちゃんの正義がある。
それを止めはしても否定する権利はないでしょ」
「クザン大将の言う通りです。
そもそも、新兵が舐めた口を聞いてる事の方が大問題なんだよ。
本来なら刑罰ものだけど言い負かされただけで済んだ事に感謝すべき。
私なら絶対許してないね」
2人が味方をしてくれないのが悔しいのかナナは下唇を噛んでいた
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