初恋の味【夏目残夏】 (ページ32)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:89,892 hit

30.降り続ける雪ページ32

・

・

―あ「おば…さん…」

後ろを振り返ると…龍也のお母さんがいた。

「…何しにここへ来たの?」

あ「あ、あたしは…ただ、龍也にお花を…」

「帰って!!!」

あ「…おばさん。」

「帰ってちょうだい!!二度と、私の前に現れるなと言ったでしょう!?」

おばさんはあたしを怒鳴った。

あ「…ごめんなさい。」

あたしはおばさんの方を向いて正座をし、頭を下げた。

「謝って許されると思ってるの!?龍也は…龍也はあなたの所為で死んだのよ!!!」

あ「…ごめんなさい!!」

「…!」

バサッ!

あ「痛っ…!」

おばさんは怒りで我を忘れるように、あたしが添えた花をあたしに投げつけた。

「帰って!!私の前に二度と現れるな!!」

あ「っ…!」

あたしは慌てて立ち上がると、おばさんに軽くお辞儀をして、その場を走って去った。

・

・

―ゴソッ、ゴソッ

雪が積もる道を、あたしは走り続けた。

あ「あ…!」

バサッ!

そしてあたしは足を躓かせ、その場で転んだ。

あ「っ…」

目から、勝手に涙が溢れる。

止めようとしても、止まらない。

やっぱりおばさんは、あたしのことを…きっと許してくれないよね。

あ「…」

あたしは起き上がり、その場に座り込んだ。

雪が降り続いてる、寒い…

龍也に、会いたい…

あたしは座り込んだまま俯いた。

…サッ

あれ…?

誰かが、傘を…

あたしは顔を上げた。

「…大丈夫?」

あ「え…どう、して…」

顔を上げると、そこには…

あたしを見つめ微笑む夏目君がいた。

・

・