2.先祖返り ページ4
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―あたしは妖館の中に入ると、台車を押し続けた。
後ろから夏目君がついてくる…
あたしは立ち止まり、後ろを振り返った。
あ「…どうして、ついてくるんですか?」
残「ん?」
あ「さっきあたしより先に扉を開けた。だったら…出掛けようとしていたんじゃ?」
残「まあまあ、そんなこと気にしないでさ〜、君とお話したいと思ったんだよぉ?」
あ「…まあ、いいですけど。」
私は再び台車を押しながらエレベーターの前まで来た。
残「…ボクは君の事、名前聞かなくても知ってたんだ〜兎羅Aちゃん。」
あ「え…?」
私は驚いて夏目君を見つめた。
残「君がどうしてここへ来たのかも、君の過去に何があったのかも…ね?」
あ「...夏目君、貴方は何の先祖返りなの?」
残「ボクは百目の先祖返りだよ〜?おかげで視たくないものまで視えちゃったり...とにかくボクに隠し事してもみんな視えちゃうんだよねぇ。時には下着の色まで視えちゃったり♪」
あ「…ある意味、変態ですか?」
残「Aたんっ!それは酷いよ〜…ぐすんぐすん。」
あたしが真顔でストレートに言うと、夏目君は啜り泣きをした。
あ「…」
絡みにくそうな人だわ。
私は小さくため息をついた。
残「ボクのこと、絡みにくそうな人って思ったでしょう?」
あ「なっ…!」
残「言ったでしょう?ボクには隠し事は無理だって♪」
あ「…」
私は思わず唖然としてしまった。
そしてエレベーターが1Fに降りてくると、私たちはそれに乗った。
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作者名:紗也 | 作成日時:2013年8月13日 11時