〈ツイステ〉海と花束 (ページ48)

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5話ページ48

( ジェイド side )

案内された先では、既に祭りが始まっていたようだった。
この山に住みつく妖精たちが皆この花畑に集い、
思うがままに歌や踊りを披露していた。

その様子を、少し離れた木陰から、僕たちは眺めていた。

「ジェイドのお弁当、やっぱ美味しかった… ありがと」

「恐縮です。これからもご期待に添えるよう頑張ります」

幸せそうに笑うA。
日に照らされて煌く花畑や、華やかな頭の装飾が、
Aの儚さを際立たせていた。

僕はただじっと、彼の顔を眺めていた。

「……ジェイド？」

「…ああ、すみません。なんでもありませんよ」

不思議そうに首を傾げる姿も、愛らしい。

…この光景を忘れないように、
しっかりと目に焼き付けておこう。
写真におさめて誰かに自慢するのでは無く、
自分の心の中だけに仕舞い込んでしまおう。

風に乗って運ばれてきた花の香りが、
優しく2人を包み込んだ。

*

「あ、ジェイドおかえり～。…って、どしたのそれ」

"それ"とは、僕が背中におぶっているAのことだ。

あの後、妖精達に混ざって遊んでいた彼は、
僕の隣に戻ると、疲れて眠ってしまったのだ。
起きる気配が無いので、仕方なくおぶって、山を降りてきた。
ようやく寮へ戻ったところで、廊下でフロイドに会ったのだ。

「一緒に山へ行っていたのですが… 途中で寝てしまって」

「ふ～ん？……なんか、幸せそうな顔してんね」

思わず今日のことを自慢したくなったが、
僕はその気持ちをなんとか抑えた。

2人だけの秘密にしたかったのだ。
どうせ、後でAが自慢してしまうのだろうが。
…せめてそれまでは、2人だけの記憶にさせてほしい。

すうすう、と規則正しく寝息を立てる、
愛おしい体温を背中で感じながら、
Aの部屋へと向かった。

部屋に到着すると、ベッドに彼を寝かせた。
頭につけられていた花を全て丁寧に取ってやり、
サイドテーブルに置く。
花を一輪手に取り、匂いを嗅いでみると、
なんだかふわふわと心地よくなるのを感じた。

…今日だけでも、Aを独り占めできてよかった。
きっと、ずっとこうしたかったのだと思う。

Aの前髪を分け、顔を覗かせた綺麗な額に、
僕はそっとキスを落とした。

・・・

ものすごい甘々になってしまった…。
ジェイドに甘やかされたいですよね～(爆泣)

・・・