〈ツイステ〉海と花束 (ページ38)

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6話ページ38

「子供じゃないんだから、自分の身は自分で守れるよ。もう迷子になんかならないし！…それに、友達が出来たんだ！だから大丈夫だよ！」

「………友達？」

さっきまでのあどけない顔が一変。
アズールは「友達」というワードに顔をしかめた。
僕から手を離し、腕を組み眼鏡をかけ直す。
突然自由になった体がよろけて、尻餅をついてしまう。
僕はそのまま床に座ってアズールを見上げた。
形勢逆転だ。

「なんです、その"友達"とは」

「何って…友達は友達だよ。みんな面白くて優しくて、大好きなんだ。3人以外の友達ができたの初めてで嬉しかったなあ」

みんなと出会った日のことを思い出して、
僕は思わず表情が緩んでしまった。
アズールは少し考えて、「…分かりました」と
ため息をついた。

「え、じゃあ……！」

「ただし！明日その友達とやらに会わせてください」

有無を言わせぬその態度に圧倒されて、
「はい…」と答えざるをえなかった。
僕の友達だから乱暴はしないと思うけど、
一体何のために会うんだろう。
少し嫌な予感がした。

*

翌日の休憩時間。
なんとか4人を廊下に連れ出すことに成功した。

「急にどうしたの…」

「なんかコイツ怪しいんだゾ…」

ユウとグリムが怪訝そうな顔で僕を見ている。
他の2人もだ。
僕は気まずくて、頭を掻きながら苦笑いしていた。
…アズール、早く来て…。
思いながら、辺りを見渡していると、
突然後ろから声をかけられた。
全員が一斉に振り返ると、そこにはアズールが立っていた。
ニコニコと外向きの顔をしている。

「はじめまして、みなさん！Aがお世話になっているようで……。僕はAの兄、アズール・アーシェングロットです。以後お見知り置きを」

姿勢を正してお辞儀をする。
声もいつもより幾分か高く張っていた。

エースはアズールの顔を見るなり、
「あーっ！」と声を上げた。

「あんた過保護のっ…むぐぐ」

「Aのやつ毎日のように悩んでっ…ふが！」

僕はエースとグリムの口を急いで塞いだ。
僕が彼らに相談していたこと、作戦のことを
知られたらまずい。
僕はアズールから見えないよう背を向け、
4人に小声で「しーっ！」と黙るように指示した。