〈ツイステ〉海と花束 (ページ30)

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3話ページ30

シャツのボタンをとめ終わったら
後は簡単だった。
最後にハットを被って、着替え完了だ。

「じゃーん！どうかな」

3人の前で着替え終わった姿を見せびらかした。
どんな反応をするだろうか。
ワクワクして待っていたが、
3人とも口を抑えながらプルプルと震えて
何も喋ってはくれない。

「…に、似合ってない……？」

急に恥ずかしくなっておそるおそる聞いてみる。
すると3人は打ち合わせしていたかのように
同じタイミングで親指を立てて見せた。

これは「良い」ってことなのかな…？

「…アズール、そろそろ時間です」

ジェイドがハッとして時計を見た。
そろそろ30分が過ぎてしまう

「あ、ああ…そうでした。行きましょうか、A」

アズールに手を引かれ、僕たちは部屋を出た。

『モストロ・ラウンジ』に到着した。
ここはアズールが支配人のカフェで、
寮生は皆、シフト制で働く規則になっているらしい。

店内では既に新入生たちが席について
雑談をしている。

…完全に流れに乗り遅れてしまった。
今からみんなの話に入るのは難しそうだ。
空いてる席を見つけたので
とりあえずそこに座ろうとすると、
後ろから肩をガッシリと掴まれて
動きを止められた。

驚いて振り返ると、
3人がニッコリと僕を見下ろしている。
ああ、なんかまた嫌な予感。

「お前の席はそこじゃありませんよ。さ、こちらに」

後ろからぐいぐいと押されてたどり着いたのは
明らかに1人で座るには大きすぎるソファ。
何故かこの席には誰も座っていなかった。

そして無理矢理ソファに座らされてしまう。
その光景は全員からの視線を集めた。

(し、視線が痛い…)

パンパン、とアズールが手を叩く。

店の奥から寮生が次々に出てくる。
手にはトレーを持っていて、
美味しそうな匂いのする料理やドリンクが
乗っているようだった。

「これより新入生歓迎会をはじめます。皆さん、今日は料理を存分に楽しんでください！食べ終わった後は自由にしていただいて構いませんので…」

テーブルにずらりと並べられる料理。
新入生たちは思わずごくりと喉を鳴らした。

アズールが席に座るのを合図に、
全員が食事を始め、店内は賑やかになっていった。