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窓ガラスの向こうでは、
沢山の管に繋がれた、
小さな小さな男の子が必死で生きようとしてる。
この子のお母さん、
分娩異常起きて、
ひどい合併症なって。
まだ若いのに、
亡くなってもうたって、
産科の同期の章ちゃんから聞いた。
父親は、
仕事が忙しいとかで、
ほとんど顔見せへんねんて。
こんな場面、
慣れっこのはずやのにな、
何度見ても、胸が詰まる。
ふと人の気配がして。
振り返ったら、隣に章ちゃんが立ってた。
「たあ君、急変してもうたんや。
取り上げた時、なんとか、命、繋げた、
思たのにな・・・
頑張って欲しいな」
中の様子を見つめながら、
悲しそうに呟いてる。
俺に言うてるんやなくて、
一人言みたいや。
「章ちゃん、あの子、たあ君言うん？」
昔々、臓器移植待ったまんまで、
亡くなってしもたあの男の子も、
たあ君て、あだ名やった。
ほんまの名前はもう、忘れてしもたけど・・・
「うん。
あの子のお母さん、
重度の妊娠中毒症で、
ずっと入院しとってな。
無事に産まれたら、
忠義て名付けるて、俺に言うてた。
たあ君て、呼ぶんやて。
幸せそうにお腹に話しかけて・・・」
「そうなんや」
あかん。
目の奥、熱い。
医者やのに、感情移入し過ぎやろ。
５年前、亡くなってしもた、あの子の分も、
この子には・・・
そう思て、背中向けようとした時。
激しいガターンって医療器具、
床に落としたような派手な音がして、
ICUの床に、Aが倒れた。
顔色が悪い。
青ざめて、がたがた震えてる。
ただごとやないんは、
医者の直感で分かった。
慌てて消毒して、中に駆け込む。
「Aっ！！大丈夫か？！」
「りょ、お、
それ、よ、り、たあく、んのしゅ、」
冷や汗流して、ガタガタ震えながら、
掠れた声で言うのがやっとみたいや。
「ごめん、亮ちゃん。
今からこの赤ちゃんの緊急手術やねんけど。
小児科、人手がないねん。
Aちゃんのことは、」
丸が言いかけた時、
章ちゃんも入って来た。
「亮、今は手術に回ってやって。
Aちゃんのことは、
俺が責任持って診察室に連れてくわ」
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ひろみ(プロフ) - 素敵なお話ですね…。切ないけど続きが気になるし、私も同じ立場だったら……って考えました。 あけましておめでとうございます。今年もゆっくり進んでいきましょ！ (2020年1月3日 0時) (
レス) id: 45ae244132 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - こちらこそいつも楽しみに読ませて頂きありがとうございました。最近コメントしてなかったけどいつも読んでます。来年も更新楽しみにしてます。良いお年をお迎え下さい。 (2019年12月28日 1時) (レス) id: f4c26da760 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - この１年もたくさん素敵な作品読ませて頂きありがとうございました(*^^*) お話の続きも新しいプレイリストも楽しみにしてます、よいお年を♪ (2019年12月27日 22時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
happiness☆(プロフ) - foolさんのお話しの大ファンです。全て好きな作品ですが、最近は、イントロの更新が待ち遠しくて、更新されると一気に読んでしまいます。今後の展開気になりますが、どんな形でも2人が幸せになって欲しいと願っています。個人的には、たあくんを2人で育てて欲しいです。 (2019年12月27日 21時) (レス) id: 8cb89539f0 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - きっと、このお話も切ない展開なんだと思い、胸がキュッとなります。涙がポロっと出そう。人の幸せってなんなんだろうねぇ……と、考えてしまいます。 (2019年12月23日 21時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年9月24日 13時
