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フライパンの中でジュージューと肉の焼ける良い音がする。
下味のスパイスと肉の香りが合わさって食欲が刺激されて、お腹が鳴りそうだ。
「あんま近づくと油飛ぶよ。離れときな」
フライパンの蓋を開ける前に気遣ってくれる優しさがあり、会社で会う時のイメージがまた崩れていく。
焼き上がった肉にナイフを入れながら
「池田さん、これやばい。まじでやらかい」
感動しながらカットしている。
「それは…楽しみですね」
彼の手元を隣から覗き込んでいると
「目がキラキラしてんじゃん」
カットした肉を皿に盛りながら、こちらに視線を向けて笑われた。
「え?」
「いや、かわいいなって。
喜んでくれて嬉しい。うまそうだよね」
女の子を相手にするアイドルってこうもすぐかわいいって言うんだ。
さすが慣れてるな。
ご飯も炊けたので茶碗によそい、テーブルにお肉と共に並べる。
言っていたとおり、肉と米だけ。
アルコールは飲まないけれど、何もないのも寂しいのでお互い炭酸水で乾杯する。
「うーん、なにに乾杯する?」
「サービス残業に?」
「それひどくね?」
「ふふ。じゃあ肉を喰らう会に乾杯?」
私が言ってグラスを上げると
「いいね、その会。定期的にやりたい」
と微笑んで、乾杯、の声とともにグラスがこつんと合わさった。
ひとくち食べた菊池さんのおしりが椅子の上でぴょんと小さく跳ねた。
「やばい。まーじうまい」
「ふふ、大袈裟ですよ」
「いや、まじで。はやく食べてみて」
「では。いただきます」
手を合わせてお肉を頂く。
口に入れた瞬間、あまりのおいしさにがば!っと顔を上げると、目の前の菊池さんが無言で、だろ?うまいだろ?と目配せしてきた。
「ね?やばくね?」
「ヤバいです…」
口元を隠し何度も頷いてしまう。
ん〜〜美味しい!!
「焼き加減も絶妙です。焼くの上手ですね」
「いやいや、これは間違いなくA5ブランドの力よ」
「これ、食レポしなくちゃいけなかったら大変ですね。
もう美味しいしか出てこない」
「わかる。食レポあれ語彙力いるからね。
これはうまい、やばい、おいしいしか言えないね」
しゃべりつつではあるが、黙々と目の前のお肉とご飯を食べる。
「まさに喰らいましたね、私たち」
「いや、うん。まじでうまかったもん」
モリモリ食べてあっという間に平らげてしまった。
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にこ(プロフ) - こうこさん» コメント気づかずすみません!私もリアル設定大好きです〜♡いいですよね♡楽しんでいただけたようで光栄です。こうこさんはお話の続きは書かないのですか?お話思いついたら別のお話でもいいので連載してほしいです🥹 (12月16日 21時) (レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
こうこ(プロフ) - 私も少しだけ書いていますが、リアル設定大好きです♡とっても楽しくキュンキュンさせてもらいました♡またリアル設定お願いします♡ (11月29日 20時) (レス) @page37 id: 65539e8dba (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 葵さん» きゅんきゅんしたという感想はめっちゃ嬉しいです☺️書いてよかったなと思います。楽しんで頂けたようで安心しました!最後までお付き合い下さりありがとうございました♡ (10月13日 19時) (レス) @page37 id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 最後まで楽しませていただきました😆きゅんきゅんが凄かったです!本当に尊敬です🙏更新お疲れ様でした!! (10月13日 16時) (レス) @page37 id: b646f7c03f (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - yukiさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます🥺最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!コメントありがとうございました💕 (9月30日 12時) (レス) id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこ | 作成日時:2023年9月24日 12時