22 ページ22
+
ソファで感じた雰囲気にならないうちにと、ローストビーフと米をパクパク食べて、先ほどいただいた水をごくごく飲んで早々に立ち上がる。
「ごちそうさまでした」
「え、デザートあるのに？
甘いの食べにきたんじゃないの？」
「今日のところはこれで…」
前回彼の口車に乗せられて長居をしてあんなことになった。
しかもさっきもちょっとやばい雰囲気だったし。
このまま居座るのは得策じゃない。
「また、会社で」
「送るよ」
「大丈夫です。駅もすぐですし。そんな遅い時間でもないので。
菊池さんは早く休んでください」
じゃ、と手を挙げて逃げるように玄関へ続く廊下に出る。
スタスタ歩く私の後ろを彼もついてきた。
「まって」
後ろから手を掴まれ驚いて振り向いた。
「せっかく家で会えたのに、このままバイバイとか残念すぎるんだけど」
「…残念と、言われましても…」
「この前はキスして、今日はなんでおあずけなの」
駄々っ子のようになってる。
「そんな毎回キ、ス…なんてしてたらおかしいじゃないですか。付き合ってもないのに」
「じゃあちゅーは諦める。
けど、俺の気持ちある程度知った上でここに来たんだから、バイバイのハグぐらいさせて」
「………じゃあ、それして、帰ります」
なーんかうまいこと丸め込まれた気がしないでもないが、
言い寄っている男と自称していた彼の家にのこのこ来た私も確かに悪い気がしたので譲歩した。
ゆっくり体に腕が回ってきた。
めっちゃ男の人って感じのがっしり感がある。
抱きしめ返すことはしなかったけれど、彼の甘い香りは吸い込んだ。
「泊まらないとか、告白おっけーしないとかそこの意思は固いのに、ちょっとガードはゆるいよね。
俺、あとでキスするって言ったの忘れちゃった？」
私の耳元に唇を寄せささやいたあと、体を離すときに顎に手がかり掬われるように口づけられた。
私としたことが結局キスまで許している。
「キスってね、
それを避けないってまじで期待すんだけど。
なんで、俺の気持ちにうなずいてくれねーの？」
「…想いを寄せてもらえるのは本当にありがたいことなんですけど…でもどうせ遊びなんだろうなって、どこかで冷静に思うんです。
ご自身が芸能人であること、理解してください。
一般人がそんな人から声かけられたら保身に走るのも仕方ないじゃないですか」
+
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 767人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - こうこさん» コメント気づかずすみません！私もリアル設定大好きです〜♡いいですよね♡楽しんでいただけたようで光栄です。こうこさんはお話の続きは書かないのですか？お話思いついたら別のお話でもいいので連載してほしいです🥹 (12月16日 21時) (
レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
こうこ(プロフ) - 私も少しだけ書いていますが、リアル設定大好きです♡とっても楽しくキュンキュンさせてもらいました♡またリアル設定お願いします♡ (11月29日 20時) (レス) @page37 id: 65539e8dba (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 葵さん» きゅんきゅんしたという感想はめっちゃ嬉しいです☺️書いてよかったなと思います。楽しんで頂けたようで安心しました！最後までお付き合い下さりありがとうございました♡ (10月13日 19時) (レス) @page37 id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 最後まで楽しませていただきました😆きゅんきゅんが凄かったです！本当に尊敬です🙏更新お疲れ様でした！！ (10月13日 16時) (レス) @page37 id: b646f7c03f (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - yukiさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます🥺最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります！コメントありがとうございました💕 (9月30日 12時) (レス) id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ
| 作成日時：2023年9月24日 12時
