20 ページ20
+
「か、会社じゃなくても、だめ、です…」
「後出しで色々だめって言うの、ずるくない？」
「あの、手…離して「Aちゃん」
驚いて思わず顔を上げると、ばちんと目が合った。
「知ってるよ。好きな子の下の名前ぐらい」
当たり前でしょ、と彼は笑った。
「好きだから触れたいし、もっと話したいって思ってる。
俺と付き合ってほしい」
「え、わ、たし…菊池さんのこと、よく知らないので…
すみません。付き合うとかはまだそこまで気持ちがいってなくて…」
握られていた手が解けて、首元に回り引き寄せられた。
「じゃあまじでなんで来たの。
この前キスされて、今日は何もされないとか思ってる？」
「え…菊池、さん」
「嫌ならよけて」
ピンポン＿＿
あと少しで唇が触れ合うってところで家のチャイムが鳴った。
「…来るの早くね？」
寸止めだ。
は！っと我に返って、菊池さんから距離を取るように立ち上がった。
彼も立ち上がる。何事もなかったかのように。
「残念。続きはあとで」
そう言い残し玄関に行ってしまう。
あとでとは？！
玄関から頼んでいた夕食の袋を持ってリビングに戻ってきて
「うまそう！！みて！」
さっきの空気が嘘のようにテンション高く袋の中を見せてきた。
透明のプラスチックの蓋がついたどんぶりに、ローストビーフが盛られている。
先ほどの艶やかな雰囲気がなくなって心底ホッとした。
「おいしそうですね」
「たべよーぜ」
二人で食卓を囲む。これも2度目。
前回同様メニューは肉。
一応、肉会というテイを守っている。
「ローストビーフ丼、おいしいです。
あんまり食べたことなかったんですけど」
「うん、おいしいね。
やっぱ牛丼とかよりも特別感はあるよね」
「その特別感のあるものをぱぱっと頼めちゃう菊池さんは、やっぱ芸能人ですね」
「…そうだけど、それがなに？」
「……なんで私なんですか…？」
「え、だめなの？」
「だめっていうか…どう考えても釣り合わないしおかしいって思うんですよ」
+
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 768人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - こうこさん» コメント気づかずすみません！私もリアル設定大好きです〜♡いいですよね♡楽しんでいただけたようで光栄です。こうこさんはお話の続きは書かないのですか？お話思いついたら別のお話でもいいので連載してほしいです🥹 (12月16日 21時) (
レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
こうこ(プロフ) - 私も少しだけ書いていますが、リアル設定大好きです♡とっても楽しくキュンキュンさせてもらいました♡またリアル設定お願いします♡ (11月29日 20時) (レス) @page37 id: 65539e8dba (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 葵さん» きゅんきゅんしたという感想はめっちゃ嬉しいです☺️書いてよかったなと思います。楽しんで頂けたようで安心しました！最後までお付き合い下さりありがとうございました♡ (10月13日 19時) (レス) @page37 id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 最後まで楽しませていただきました😆きゅんきゅんが凄かったです！本当に尊敬です🙏更新お疲れ様でした！！ (10月13日 16時) (レス) @page37 id: b646f7c03f (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - yukiさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます🥺最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります！コメントありがとうございました💕 (9月30日 12時) (レス) id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にこ
| 作成日時：2023年9月24日 12時
