BAD END不可避の密か心【あほの坂田】 (ページ2)

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Prologue ページ2

耳に残る、甘ったるい声。

ぶっ倒れそうになるくらい、常時匂うキツい香水。

貼りついてしまった、テンプレの笑顔。

思ってもないのに出てくる数多の言の葉。

「ねぇA、今日も男子からA宛に手紙預かってるんだけど……ブスだったし、スルーしたほうがよき」

『そうだね……でも、何時間も待たせるのは悪いよね……？』

「優しすぎるてｗじゃあ、うちらが行って振っといてあげるよ？」

『助かる……ほんと申し訳ない……』

それもこれも全て

「それでなそれでなっ、琥珀ちゃんも……」

貴方を振り向かせるため。

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「なあ、オマエらはどっち派？七瀬派か、天羽派か」

翡翠色の瞳が問いかけると、周囲を一瞬で静寂が包む。
そしてお互いの出方を伺うかのように、各々の視線が絡み合う。

「ぼ、僕は七瀬先輩が好きです！先輩とは一度も話したことはないけど……初めて見た時から僕の憧れで」

純白の髪を嬉しそうに揺らす人物を見て、皆首を縦に振る。
それが腑に落ちず、小さくため息を吐くと

「どうした坂田。おまえ何か不満でもあんのか？」

俺に向かって鋭い一声が飛んだ。
それを合図にしたかのように、皆俺に集中する。

その視線に耐えかねて、仕方なく口を開いた。

「人には必ずしも、好き嫌いってもんがあるやん。
　俺はたまたま、七瀬が嫌いって分類に入ってしまっただけや」

真実を告げると、皆怪訝な顔をする。
なんでや。なんで七瀬を好きなんが当たり前なんや。

「どこか嫌いなん？あんないい子……」

綺麗な蒲公英色が、俺をまっすぐに見つめる。
いい子？どこがだよ

でも素直にそれを言ったら、収集つかなくなるのが明らかに目に見えてるので口には出さない。

「別に、琥珀の方が優しくて可愛くて何でもできて好きってだけ」
「ふぅん」

興味なさげに呟いたまーしぃは、さらにもう一言付け加える。

「ま、七瀬のいいとこは俺だけが知ってればいいからな」

怪しく光る紫陽花色の瞳は、獲物を狙う肉食動物の様だった。

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「あっ、どうしたの？Aちゃん……なんか機嫌悪そうだけど……」

わざわざ機嫌が悪い人に話しかけ、心配する性格の良さ(あざとさ)

『大丈夫！気にしないで！』

「そう？よかった！」

可愛らしい(憎らしい)笑顔。

努力せずとも手に入る友達、才能、端麗な容姿。

そして、あの人の心。

『琥珀は優しいね』

あなたなんか大っ嫌い。