妖界ナビ・ルナ 長編集 ☆Myself who fell in love☆

・〜５〜・ ページ41

A「ねぇねぇもっけ、私初めて人間姿で勝ったよ。凄いと思わない？」

もっけ「あぁ、凄い凄い。(棒)」

A「それは酷い。」

私はむすっとした。もうちょっと褒めてくれても良いと思うんだけど。

A「それじゃ、あんた妖界に帰さないといけないんだけど。人間界に何か用があった訳？」

ファル「・・・。」

何も言わなかった。言いたくない、何か事情があるのだろう。
そう考えた私は、別の質問をしてみた。

A「その用事の為に、どれだけのものを犠牲にしてきたの？」

ファル「・・・・数えきれない程、と言っても良い。」

A「ふーん。それは人の命・・とかも？」

もっけ「A？」

何だか変な感じがした。
心なしか、手が震えている。

A「元剣道部を甘く見るなってね。剣を通してなんとなく分かった」

一瞬、言葉にするのを躊躇った。

A「アンタ、もしかして・・・人間でも、妖怪でもないんじゃない？」

「いや、ないんじゃなくて、なかったの方が正しいか」と訂正する。
相手は驚きを隠せない。その驚きのせいで言葉さえも出ない程。

A「アンタが剣を自在に操れるのは、アンタ自信が剣だから。いつかは知らないけど、昔、散々使われて、挙句の果てに捨てられた剣。いつの間にかその剣には思いが籠り過ぎて、妖怪になった。なんてね。」

最後の方でちょっと笑った。

ファル「・・・あぁ、その通りだ。俺は怒りに震えた。だから・・・」

もっけ「その子孫を探していたんだな。」

言われたファルは、力無く頷いた。

A「多分、居ないよ。アンタの剣に、その剣を使ってた人の念も籠ってたみたいだけど、恋人的存在も居なかったみたいだし。」

ファル「・・・・・。」

沈黙が訪れたようだ。

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