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09_先手 ページ13




M63side



試合は終盤の8回。

同点の場面で、菅野さんが出塁する。

たぶん、俺に回ってくる。

確実に1本打てばいい、それで十分だ。



63「ふーっ」



実はすごく緊張していて。

ちょっとだけベンチ裏に下がった。



『康士、朗…くん?』

63「!Aさん。」

『目、バッキバキだよ。笑。』






…え?







63「…そんなに、っすか?」

『うん。凄く。…あはははっ!』


ガマンしてたのか、噴き出すAさん。

俺もつられて笑った。



63「っは、はははっ」

『これでもう、大丈夫。』

63「…!」

『いってらっしゃい!』

63「はい…!」






〜〜〜〜〜


<本日のヒーローは、見事な決勝打、和田康士朗選手です!>

63「ありがとうございまーす!」



適度に肩の力が抜けた俺は

回ってきた打席でタイムリーヒットを打ち、それが決勝点につながった。

Aさんとのあのひと幕があったからだ。








試合後、ベンチ裏でAさんを探す。




63「Aさん!」

『康士朗くん!やったね!おめでとう!』

63「Aさんのおかげで、俺、冷静になれました。」

『あはは。そんなことないよ、康士朗くんの実力だから!』






63「あのっ、良かったらこの後…時間、ありますか?」

『えっと…今日は、』



00「…A。」

『あっ、』








トリさん…

Aさんと、今日?



00「?どーした?」

63「…いや、何でもないっす。おつかれっした。」

『ごめん…またね。』










2人でこのあとどこか…行くのかな。

ちょっと邪な感情が芽生えたけど、

2人とも素敵な先輩だし…深く考えるのはやめておこう。






☆★「09_先手」

さあさあ。始まりました。

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作者名:ぱるぱる | 作成日時:2022年4月26日 22時

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