【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ8)

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「不思議な場所ですね」

社長さんが僕に話しかけてくる。

辺りを見回しながら、ここがどんな場所でどういう人達が入院しとるか目の当たりにして

少しだけ所属タレントがここに強制入院で入った事に動揺しとるみたいやった。

「そうっすね。

　ここだけ切り離された場所みたいっすね」

正常からは切り離されて、所謂まともと言われてる人達とは無縁の場所。

外に出られへんように扉全てに鍵がかかってて、窓には鉄格子。

何をするにしても誰かの付き添いや、面会だって簡単じゃない。

まるで閉じ込められてるような感じで、隔離されて監視されとるこの場所は

それでもここにいる人たちの一番安全な場所なんやと思う。

守られた空間なんやろうなって。

「あいつは、どういう人間やったんですか？」

スタッフさんがあの男を連れてくるまでのこの時間

彼を知ってるこの社長さんにどういう人やったのかを聞いてみた。

僕はあいつをよく知らないし、テレビで見る以外に知る術がない。

Aと付き合うようになって初めて関わって、そのすぐから敵意を向けられたから。

もともとはどういう人間やったんやろって、少しの興味がわいた。

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