【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ50)

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｢一緒に寝るの？｣

｢そやで。

僕の右手こんなんやし、布団蹴飛ばしてたらかけてや｣

｢お母さんじゃん｣

ご機嫌は直ったご様子で、ケラケラ笑っとる。

｢ドライヤーする？僕がしたろか？｣

僕の髪はタオルドライでほとんど乾いとるけど、Aの長い髪はまだ濡れたまま。

ほとんど使うことの無いドライヤーを持ってくれば”その右手じゃ無理でしょ”なんて笑った。

｢後ろからブォ～ってしたるから｣

｢なにそれ｣

笑ってるAの後ろからドライヤーの風を当てる。

少し細めのAの髪が白い指先に解されてどんどん乾いていった。

｢毛、ほっそいなぁ｣

｢龍友の髪はハリとコシが強いよね｣

髪もそうやけど、僕らの見た目も正反対。

華奢で白くて儚いAと

厳つくて色黒で存在感ありありの僕。

美女と野獣やわ。

｢寝よか｣

ドライヤーを置いて、少しボサボサの髪を手ぐしで整えたった。

｢右手がこんなんやなかったら、確実押し倒しとるわ｣

うっかり漏れた心の声にバリバリ警戒を見せるAが立ち上がったまま固まった。

｢……私ソファーで寝るよ｣

｢なんもせぇへんって。

はよ行くで｣

動かへんAの手を取ってそっと引き寄せれば、それには抵抗せずに付いてきた。

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