【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ46)

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｢悩まんといて。

一言、うん。って言ってくれたらええねん｣

｢なにそれ｣

拒否権はないでって遠回しに言えば困ったように笑って。

何か言いたげに唇を動かしたから、そのほんの隙間に入り込んだ。

｢付き合ってみてダメやと思ったら、その時に僕の事振って。

めっちゃ大事にするし、どんだけワガママ言うても全部受け止めるから｣

食い下がる僕にいつか見たみたいな観念したような笑顔。

｢……わかった｣

まるで子供を宥めるみたいな視線にちょっと凹むけど

強引にでもまたカレカノの関係になれた事にホッとする。

ここ最近の記憶のないAとの関係性でそない嫌われてはないと思ってたけど、付き合うかどうかって事になるとAは少し警戒したみたいに思う。

それが元カレの件で与えられた恐怖からなのかは分からへんけど僕はAの事になるとだいぶイタイやつやしやたら暴走しがち。

でも怖がらせる事だけは絶対にせぇへんって言いきれる。

｢A｣

｢ん？｣

カレカノになった今この瞬間。

｢ちゅうしてもええ？｣

｢だめ｣

即答やったわ。

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