【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ45)

今日:52 hit、昨日:0 hit、合計:37,819 hit

695 ページ45

◇

｢いつ……なんだろうね……｣

実際1年間の記憶が無い事でAが困った事といえば元カレの暴走とツアーの件のみで

ぶっちゃけほとんど支障がない。

僕とのことを思い出さないと何か不都合がある訳でもなくて、A本人からしたら消えた1年間は何も困らないという事。

僕自身も思い出さへんくても……なんて言っておきながら、色んな心配が出てくると焦る気持ちもある。

登坂くんとの事だって、どうにかならんかったこら良かったけど、多少なりともAは彼に興味を持ったわけで。

｢なぁ、A｣

濡れた長い髪から雫が落ちる。

その髪を僕の手ですくって撫で上げた。

｢僕な、Aの事めっちゃ好きやねん。

まだ僕の事よう知らんかもしれへんけど

僕の彼女になって？｣

気持ちを伝えた時のAの顔が、あの時と同じ顔。

1度目の告白の時と同じで、なんて断ろうか？なんて考えてるのとそっくりやわ。

｢年下やけど

めちゃめちゃ大事にする。

ちゃんと僕の事好きにさせるから、な？｣

｢え、と……｣

答えに困ったような、そんな顔して固まっとるわ。

･