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｢ほんならさ、いっこええ？｣
｢なんですか？｣
相変わらずのペースで酒を飲むAにもう一個カニ剥いてくれと突き出しつつ、お願い事をひとつ。
｢数原さんやめてくれへん。
龍友でええやん｣
突き出したカニを受け取って、不器用ながら剥いてくれたそれを。
｢はい、りゅーと｣
なんて手渡される。
｢不意打ちやめてくれ！
心臓破裂するやろ！｣
｢え。自分が呼んでって言ったじゃん｣
そうやけど！
そうなんやけど！
なんやねんもー。こういうところ相変わらずやわ。
デレながら受け取ったカニを口の中に詰め込んだ。
｢そういや、ライブどうやったん？｣
記憶のない状態でようファイナルやったなっていう関心と、無茶せんといてなっていう心配と。
それでもこの人は完璧にこなしたんやろうなっていう安心感。
｢大成功だったよ。
でもやっぱり疲れたかな……なんか頭が重だるかった｣
言いながらこめかみを抑える仕草を見せるから、やっぱり無茶やったんちゃうかって。
これでまた記憶になにかしら影響あったら怖いわ。
｢しばらくは大人しくしとってな｣
｢そうだね。
あとはドラマがどうなるのか……｣
元カレが完全に壊れて、撮影自体どうなるかまだ決まってへん状態。
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作者名：Rui
| 作成日時：2021年1月5日 23時
