【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ31)

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｢でもね、なんか違うの。

隣にいても安心感がないの。

言葉でうまく説明出来ないんだけど、抱きしめられてもドキドキしないし身を任せられるようなそういう感じがしないの｣

いやもうパニックや。

抱きしめられたってなんや、どういう状況やったんや。

どこから突っ込んでええかわからんけど、僕の今の立場じゃ突っ込むことが間違いで

とりあえず必死に相槌を返すので精一杯。

｢あんなぁ、僕の前で他の男に抱きしめられたって話せんでほしいねん｣

｢そか。ごめん｣

｢……で、登坂くんとはどうしてん｣

自分でするなといったほかの男の話を、知らないことに出来なくてつい聞いてまう。

さっききた登坂くんの電話からして登坂くんがフラれたみたいな状況なんは分かるけど、ほんまに何があったんか気になるわ。

｢教えない｣

｢なんでやねん！

気になるやんけ！嫉妬でおかしくなりそうやわ｣

めっちゃデカい声出たわ、自分でもびっくりの。

目の前の彼女は笑ってて、綺麗に剥けたカニを渡された。

｢数原さんが教えてくれるまで教えない｣

｢何をや｣

隠し事なんてしてへんで、僕。

Aに言われたことの意味がわからんくてソッコーで言い返せばこれもまた”教えない”やて。

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