【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ28)

今日:5 hit、昨日:63 hit、合計:37,835 hit

678 ページ28

◇

｢ほな料理手伝ってくれへん｣

相変わらず包帯グルグル巻の右手を見せつつ、俄然やる気のAと一緒にキッチンへ。

こんな右手でも意外と料理できるんやけど、怖いもの見たさでAにも料理してもらおうかと。

思ったんやけど、やっぱり失敗やったわ……。

｢あかんで！魚ウロコ取ってからやで！｣

｢えー？ウロコってなに？｣

｢包丁逆や！｣

｢え？こっち切る方でしょ？｣

｢ウロコは包丁の背中や！｣

｢包丁に背中あるの？

背骨どこ｣

｢……｣

｢……｣

｢……ソファー、座っとき｣

｢……あい｣

Aの両手より僕の片手の方が安心安全やわ。

しかも倍以上早く終わるし。

しょぼんとした背中でソファーに座るAが1人時間に飽きた頃

僕の方でも約束のカニ鍋ができ上がる。

しかも、Aがとんでもない量の海産物を買い込んできたから、鍋以外にも簡単な料理を作った。

｢なんかあれだね。

私がお世話してもらってるね｣

”えへへー”みたいな感じで嬉しそうな顔してダイニングテーブルについた。

･