【氷と炎】⑭数原龍友 (ページ3)

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「まだリハ続くんだから、お姫様宥めてきてよ」

JINさんに背中を押されてAの方に行くけど

あかん、結構拗ねとる感じがするわ。

「おつかれさま」

女子たちの中で楽しそうに話しとるAに声を掛けると、皆がこっちを見て一斉に挨拶が返される。

ほんで"数原さん来ましたよ"の空気。

まあええけど、気まづい。

空気を読んでるんかどうなのか、あっという間にスタッフさん達はいなくなって僕とAの2人きり。

怒ってるような拗ねとるようなAはじっと僕を見上げとった。

「なに？」

「さっきまで会いたいって思ってたけど

　……会いたくなかった」

「なんやそれ」

本人いたってまじめに何かを訴えてるつもりやねんけど、ついうっかり笑ってもうてAを余計に怒らせる。

だってカワイイんだもん、この子。

しかもやっぱり少しだけ意思表示はっきりしとるし、それがまた愛しいというか構いたくなるというか。

「僕は会いたかったで」

電話一本で呼び出されて、仕事終わりで疲れてるはずやのにこうやって一目だけでも会いたいってここまで来てしまうぐらいには、会いたかった。

ちょっと傍によって、少しかがんで下からAの顔を覗き込んだ。

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